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U−20日本代表 元木監督に聞く 大阪朝高ラグビー部 桐蔭と差なかった

 「第90回全国高等学校ラグビーフットボール大会」に出場し、2年連続でベスト4に輝いた大阪朝鮮高級学校の強さについて、元日本代表で、U―20(20歳以下)日本代表監督を務める元木由記雄氏に聞いた。

−大阪朝高の強さはどこにあったか。

 まずは、いいメンバーがそろっていたことが挙げられる。大阪府予選の決勝を見て、非常に強いチームだと感じ、「全国大会」前から注目していた。

 フォワード、バックスに関係なく、ボールをつないで攻めていたことが印象に残っている。チームが一つになっていると感じた。

 朴成基選手(SO)のキックが正確で、そこからゲームを組み立てていた。主将の金寛泰選手(今大会ではおもにHO)は精神的支柱としてチームをうまくまとめていた。

 そして特に、権裕人選手(CTB、※初戦で脳震とうを起こし次戦から出場不可)に注目していた。今大会出場選手の中からもU―20日本代表に何人か呼びたいと考えていたが、権選手もその一人だ。あの体格(183a、105`)にしてスピードがあるのが魅力だ。スキルはもっと伸ばしていく必要はあるが、今後世界でも活躍できる可能性があると感じている。

−大阪朝高の強さが発揮された流経大柏との準々決勝、敗れた桐蔭学園との準決勝をどう見たか。

 対流経大柏戦では、権選手がチャンスを作りそこから仕掛けるというオプションが使えない中で、どういう戦い方をするのかに注目した。準々決勝を前にして、ちょっときつくなるなと思っていたが、逆に15人全員でボールを動かしながら、トライを奪っていった。

 準決勝では前半、プレッシャーからか動きが硬く、いつもの朝高らしさが見えなかった。後半はうまく修正してきて、バックスで走ってくる相手の良さを消しながらプレーできていた。負けはしたが、差があるとは感じなかった。

−1994年に朝鮮高級学校に門戸が開かれたが、昨年、今年と2年連続で「全国」ベスト4に輝いた。

 まだ日が浅い中で、ここまで力をつけてきたことは本当にすばらしい。よく練習しているんだと思う。安定した力をつけてきたし、強豪校に仲間入りしつつある。

 大阪府大会を勝ち上がり「全国大会」に出場を果たすようになり、選手たちに自信が生まれたことも、強さを加速させたと思う。

 今後の課題を挙げるなら、一瞬の隙を作らないこと。今年のチームも、時間帯によってはちょっと首をかしげるプレーがあった。本当に強いチームを目指すためには、隙をなくすことが絶対条件だ。

 そして今年のようにいいメンバーが揃っていなくても、「全国大会」に出場できるようになることが大切だ。そうなった時に、本当の意味で伝統校になったと言える。

 あと一皮むければ「全国制覇」を狙える可能性もある。(まとめ=鄭茂憲)

元木由記雄(もとき・ゆきお)

 20歳以下の日本代表監督。神戸製鋼コベルコスティーラーズのチームアドバイザー。71年8月生まれ。ラグビーの日本代表として歴代最多の79キャップを誇り、2009年シーズン限りで現役を引退。

[朝鮮新報 2011.1.19]