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〈第90回全国高校ラグビー〉 大阪朝高 2年連続4強

勇気与えた朝高ラガーマンたち

 「第90回全国高等学校ラグビーフットボール大会」に出場した大阪朝鮮高級学校ラグビー部が、昨年に続きベスト4に進出する快挙を成し遂げた。昨年12月27日から近鉄花園ラグビー場で開催された同大会に、2年連続5度目の出場を果たした大阪朝高はフォワード、バックスが一体となった攻撃で強豪校を撃破し4強に駒を進めた。準決勝で桐蔭学園(神奈川第2)に10―21で敗れ、目標だった「全国制覇」はかなわなかったが、朝高ラグビー史上に新たな1ページを刻んだ。

激戦を制し

ドライビングモールでトライを狙う大阪朝高FW陣(準決勝)

 初のAシードとして今大会に臨んだ大阪朝高(大阪第1)は、昨年12月30日の2回戦から登場した。初戦の相手は福岡(福岡第2)。個々の能力で勝る朝高は、前評判どおりの強さを発揮して48―12で圧勝した。

 試合では、主将の金寛泰選手(3年、FW)がケガから復帰し途中出場を果たしたものの、エースの権裕人選手(3年、CTB)が頭部を負傷し、以降の試合に出場できなくなる不運に見舞われた。

 続く元日の3回戦、尾道(広島)を12―7で下し、3日の準々決勝では流経大柏(千葉)とのAシード対決に32―10で快勝し、準決勝進出を決めた。

今大会6トライを挙げ大活躍した南宗成選手(3年、LO、準々決勝)

 ゲームキャプテンの金勇輝選手(3年、CTB)は「常にボールを動かし、流れの中でトライを決めることができた」と試合を振り返った。

 同胞たちの期待を一身に背負って迎えた5日の準決勝の相手は、前回大会で敗れた桐蔭学園。「あれから365日が経った日に同じ相手と対戦できる。しっかりと戦って、勝ちたい」(金寛泰主将)と雪辱を誓い試合に臨んだ。

 準決勝では序盤に失点を重ね0―16とされたが、徐々に立て直した朝高は前半ロスタイムに1トライを返す。コンバージョンも成功させ、7―16で折り返した。

 後半、反撃に出た朝高は16分にPGを成功させて10―16とし、1トライで逆転可能な点差にまで詰め寄るなど、底力を見せた。しかし、決勝進出の壁は高く惜敗した。

円陣を組み決勝進出をかけた一戦に臨む大阪朝高選手たち

 試合後、選手たちは涙をこらえながら互いをねぎらっていた。

 金主将は「このチームでみんなとラグビーをできたことは、僕の財産。みんなを同志だと思っている」とチームメイトを称えながら、「今日も同胞たちの応援が力になった。春の選抜(第11回全国高等学校選抜大会)で準優勝できたのも、大阪府の代表として『全国大会』準決勝まで進めたのも、同胞たちの応援があったから。見えない力が僕たちの背中を押してくれた」と感謝の言葉を述べた。

 呉英吉監督は「選手たちは『花園』の舞台でも一戦一戦成長した。彼らは100%の力を発揮してくれた。前回大会の敗戦から1年、選手たちに温かい声援を送り続けてくれた保護者、各地の同胞、ラグビー部OBたちに本当に感謝したい。来年も強いチームを作って、またここに戻って来たい」と力強く語った。

声からして応援

準決勝終了後、涙をこらえながら互いの健闘を称え合う大阪朝高選手たち

 毎試合、会場には近畿地方をはじめとする各地から多くの同胞たちが駆けつけ、選手たちにエールを送った。

 準々決勝があった3日、スタンドには「이루자! 60만동포의 소원!!(成し遂げよう! 60万同胞の願い) 京都府青商会」と書かれた真新しい横断幕が掲げられ、観客の目を引いた。30〜40代の若い世代の同胞として朝高生のために今やるべきことを少しでもやろうとの思いで京都府青商会が作ったものだ。

 この日、京都からは府青商会が準備した観光バス2台に分乗して100人規模で応援に駆けつけた。府青商会常任幹事の厳強さん(39)は「朝高生の力になれればと横断幕を作成した。ここに来ている同胞だけではなく、日本各地にいる同胞が応援しているということを横断幕の言葉に込めた」と興奮気味に話した。

 同部OBの金翔午さん(朝鮮大学校ラグビー部、外国語学部2年)は、大阪朝高ラグビー部が第87回大会でベスト16になったときのメンバーの一人。勝ち続ける難しさ、プレッシャーを少しでも和らげてあげたいとの思いから、当時の仲間たちとともに準々決勝前日の練習に参加し、選手たちを激励した。「後輩たちが勝ってくれると信じている」と、試合でも友人らとともに終始、声をからして応援した。

 金鍾河さん(金主将のアボジ、46)は準決勝終了後、「朝鮮学校がすばらしい学校だということをあらためて示せた。朝高生は単にラグビーのために進学してきた生徒たちではない。民族教育のなかでラグビーを通じて心と体を鍛え上げた生徒たちだ。そんな彼らが本当に大きな勇気を与えてくれた」と話した。(取材班)

[朝鮮新報 2011.1.8]