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〈本の紹介〉 朝鮮山岳物語

 朝鮮は国土の75%が山地で覆われた山の多い国である。

 本書は、在日2世の筆者が、故郷山川への郷愁を込めて資料を収集し、読み物としてまとめたものだ。

 「1 、山々の原風景」「2 、山岳風景の変遷」「3 、朝鮮の遊山」で構成され、朝鮮の地形や信仰、風俗などにまつわるさまざまなエピソードが散りばめられている。

 その一つに、朝鮮の地形に関する「ウサギ説」と「トラ説」がある。日本の植民地統治時代、日本の地理学者・小藤文次郎らは、朝鮮の地形をウサギに似ていると主張し、その絵を書物などに発表した。朝鮮は従順な弱小民族との意図を込めたのである。これに猛然と立ち向かったのが独立運動家の申采浩だった。皇城新聞の記者でもあった彼は、「朝鮮は大国の餌食にあらず、白頭山の猛虎なり」と、トラに似せた朝鮮地図を頭上に掲げた。

 著者は巻末の辞で、北南朝鮮の登山者たちの願いは「白頭山から智異山に至る1400キロの山の連なりとなる白頭大幹を縦走すること」と述べている。そして、「その夢は、在日登山愛好家も共有するもの」とも話している。(潤)

著者:朴禮緒

出版:朝鮮青年社

TEL 03−3813−2291

定価:700円+税

[朝鮮新報 2011.5.13]