〈みんなの健康Q&A〉 虫歯予防とフッ素うがい−特徴と効果 |
今日は、虫歯予防とフッ素うがいについて話したいと思います。 現在日本では、2012年度までの健康づくり運動として9つの健康分野のそれぞれに目標設定がなされていて、そのうち「歯の健康」では、@幼児期の虫歯予防…虫歯のない3歳児を80%以上に、A学齢期の虫歯予防…12歳児の永久歯虫歯数の平均を1歯以下に、B成人期の虫歯予防…40歳と50歳で進行した歯周炎に罹患している(4ミリ以上の歯周ポケットを有する)者の割合を30%以上減らす、C歯の喪失予防…8020(80歳で20本の自分の歯が残存)達成者と6024(60歳で24本の自分の歯が残存)達成者の割合をそれぞれ20%以上、50%以上に―と目標値が定められています。 このことは、永久歯の喪失を防いで咀嚼機能を維持し健康寿命を延伸しようとする考えであり、「フッ素配合物の応用」を虫歯リスクの低減目標として位置づけています。 具体的に言いますと、幼児期の虫歯予防に「フッ素を歯にぬる」、学齢期の虫歯予防に「フッ素入りの歯磨き粉を使用する」、その他に「フッ素うがいを行う」などがあります。 ■ このうち「フッ素入り歯磨き粉」の普及率がもっとも高く、歯磨き粉使用者の90%に普及しています。「フッ素うがい」は前者の状況に比べるとかなり見劣りし、数値的にみても102万人の実施で、年少人口(0〜14歳)数に対する割合ではわずか6%にすぎません(要は、まだまだ普及していないということです)。 現在販売されているフッ素配合うがい薬は、従来からの顆粒状の製品に液体製品が追加され4種類が入手できます。 フッソ配合物の応用理念は「不要な副作用を生じさせることなく、最大限の利益(虫歯予防効果)を発揮させること」で、これを達成できるようコントロールするのは歯科専門医の役割であります。 ■ 歯科医院で行うフッ素を歯に塗る行為は、高濃度のフッ素配合物を直接歯に塗って歯そのものの耐酸性を高めるものです。 それに対してフッ素入り歯磨き粉とフッ素うがいは、低濃度のフッ素配合物を唾液を介して歯面ならびに口腔環境に作用させる手段です。 具体的に見ると、@歯磨き粉あるいはうがい薬のフッ素が口の中に入る→A唾液、歯の表面や歯と歯の間、歯肉や舌などの粘膜表面にフッ素配合物が残る→B歯の表面近くのフッ素配合物は歯が溶けるのを防ぎ初期虫歯の自然治癒を促進する→C虫歯の発生と進行が予防されるという流れになります。 とくに就寝直前にフッ素入り歯磨き粉できちんとブラッシングすれば、翌朝の起床時までその効果が持続するとされています。 過去の実験やいろいろなデータなどから、フッ素配合うがい薬の使用は短時間(約30秒)ですが、うがい中に口の中のすみずみにまでフッ素が行きわたり、さらにその後、水によるすすぎをしないことが有利なようです(こちらも就寝前に追加することで虫歯予防への貢献が期待できます)。 ■ フッ素うがいの特長としては、@うがい薬を飲み込まず30秒口の中でぶくぶくさせて吐き出すことができれば利用できる、A虫歯予防効果が高く(40〜60%)継続することにより効果が増大する(小学校の6年間実施で虫歯が半減する)、Bうがいを始めてから出てくる歯への効果は非常に高い(永久歯の中で早期に出てくる「6歳臼歯」を考慮して4歳から開始し、「12歳臼歯」が出て数年後にあたる中学卒業まで継続することが奨められる)、C奥歯の咬み合わせの面の溝の中より平面に対する虫歯予防効果が高い(前歯や歯と歯の間の虫歯予防に最適)、Dフッ素うがいを中止しても効果は持続する、E実行する子どもがフッ素うがいを十分理解していれば、自分の歯に関心を持ち、結果的に歯みがき習慣などにもよい影響を与えることが期待できます。 今回の内容は子どもに対するフッ素配合物の応用のように思われますが、成人に対してのさまざまな応用もあります(歯質の強化、虫歯の予防、知覚過敏など)。 興味がありましたら、近くの歯科医院で聞いてみてください。 みなさん、歯のケアは健康の第一歩です!(しん歯科クリニック、申映均院長、東京都足立区竹の塚3−20−11、TEL 03・5831・1589) [朝鮮新報 2011.4.27] |