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東京外大舞踊サークルをたずねて、朝鮮舞踊に汗流す学生たち


演劇のようなストーリー性、表現力に圧倒され

金英蘭舞踊研究所発表会の舞台に上がった部員たち(5人舞「鈴の踊り」、撮影=文光善)

 先月31日に行われた8回目となる金英蘭舞踊研究所発表会では、幼児クラスから成人クラスまでの研究生の他、プロの舞踊家も招き、多彩な演目が披露され、大好評のうちに幕を降ろした。

 好評を博した今公演には、東京・府中市にある東京外国語大学の5人の学生も出演した。会場では、その舞台を観た同胞らが新鮮な驚きを口にしていた。当日公演を観覧した金英順さん(57)は、「ウリハッセン(同胞生徒)たちも良かったけど、日本の学生たちの踊りも良かった。初心者とは思えないほど上手だった」と話した。

 日本の大学生たちがなぜ朝鮮舞踊を踊るのか。大学でサークルを立ちあげ、厳しい練習の日々を重ねる部員たちを訪ねた。

憧れの舞台に向け

一人ひとり細かく指導する高さん(撮影=盧琴順)

 5日、まだ春休み中の外大では、多くのサークルが活発に練習をしていた。体育館の2階では、練習用のチョゴリ姿で汗を流す学生たちの姿があった。

 全身が映る大きな鏡の前に立ち、手足、体全体の動作を一つひとつ確認する部員たちの面持ちは真剣そのもの。

 ウリハッキョでも使う中級部用の音楽に合わせて、基本動作をみっちり3時間練習。朝鮮独特のリズムであるチャンダンや腕、足などの動きを体得するのはなかなか難しそうだ。

舞踊部を立ち上げた高仙雅さん(撮影=盧琴順)

 そんなメンバーたちに向かって、チャンゴを叩きながら指導するのは、同部を創設した部長の高仙雅さん(21、スペイン語科3年)。金英蘭舞踊研究所の研究生でもある高さんは、同大学に入学してすぐ同部を立ち上げた。

 「せっかく作ったんだから適当にはしたくない」と、真剣な眼差しで語る高さん。日本の大学に入学し、舞踊系のサークルを回ってみたが、ピンとくるものがなかった。ならば「自分で作ってしまおう」と、初級部の頃から大好きだった朝鮮舞踊部を設立。同じスペイン語科や他の友だちにも声をかけ、当初は5人からのスタート。現在は高さんと10人の学生たちで週2回活動している。

 「ゆったりした動作が多いから楽かと思ったけど、首や手足の角度、振り付けを覚えるのが思った以上に大変だった」と話す勝見沙紀さん(19、朝鮮語科2年)。「今は分からないことばかりだが、自分も舞台できれいに踊る先輩たちのように上手になれるようがんばりたい」。

一生懸命練習に励む部員たち(撮影=盧琴順)

音楽に合わせて基本動作を確認する (撮影=盧琴順)

 もともと運動系のサークルに入ろうとしていた加藤晶子さん(19、スペイン語科2年)は、スペイン語科の親睦会で踊る舞踊部の姿に感動し、入部を決意した。

 「可愛い衣装と優雅な動きに一目で魅了された。今はまだ動作を覚えるので必死だが、いつかは心から出る笑顔で楽しく踊れるようになりたい」と笑顔をこぼした。

 加藤里奈さん(19、朝鮮語科2年)は、舞踊を通じて朝鮮文化への興味がいっそう沸いたという。「はじめて朝鮮舞踊を観たときは、演劇のようなストーリー性、表現力、迫力に圧倒された。2月に入部したのでまだ初心者中の初心者だが、新入部員と共にもっともっと練習を積んでいきたい」と目を輝かせた。

 他の部員たちも、練習時間外も積極的に自主練をしたり金剛山歌劇団などの公演にも足を運び、朝鮮舞踊の世界へと浸っていった。朝鮮舞踊に憧れる部員たちの純粋な思いは日々熱くなっていく。

 高さんは、「はじめは朝鮮舞踊を初めて知ったという学生たちにどう教えればいいのかも分からず、毎日手探りの状態だった。それでもみんな舞踊が好きでがんばっている姿を見ると、自分もがんばれた。もっと日本の人たちにも朝鮮舞踊のすばらしさを知ってもらうのと同時に、親しみ踊る機会が増えればもっといいと思う。それを通じて在日に対する理解の輪が広がるきっかけになれば」と語った。(尹梨奈)

[朝鮮新報 2011.4.13]