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〈詩〉 天に向かって

大阪今里楠通りに 一本の桜の木
樹齢何十年になるのだろう

大人の腰ほどの太い幹は
化石の様にごつごつしているが
数百本の枝という枝には
愛らしい蕾が一斉に笑顔を見せ始めた

心ない人が引っ掛けてしまったのか
折れたまま辛うじてくっついてる枝にも
隔たり無く蕾は生まれ花をつけた
りっぱにりっぱに花をつけた

戦前 くねくねした 小川だったところ
その頃から 一本の桜の木は
道行く人々に 春を知らせてくれた
雨風に耐えながら 空襲をも乗り越え

何とたくましいのだろう
地面すれすれの所からも枝が延び
枝という枝の先は 天に向かっている
折れた枝さえも 天に向かっている

自分の花の重みに
押しつぶされそうになりながらも
力を振り絞って 天に向かっている
枝たちは 今も天に向かっている

一本の桜の木に 被災地の方々を想う 
天に向かって 一緒に生きていこうと
お日様は 今日も 燦々と降り注ぎ
元気になってと 励ましてくれている
2011.4.5

許玉汝

[朝鮮新報 2011.4.13]