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〈渡来文化 その美と造形 48〉 佐波理


佐波理加盤(正倉院)

 「佐波理」とはあまり聞きなれない言葉である。古代日本に出てくる。基本的には銅と錫の合金で、黄金色に輝いていてなかなか美事である。

 正倉院「宝物」と言われる物の中にある。

 佐波理加盤・皿・匙などがそれらである。「加盤」とは、五重、八重という風に鋺を重ねて入れ子にしたものを言い、正倉院には86組、436口もある。そのうちの相当数はまるで今作られたように金色に光っている。

 これらの加盤の一つ(四重の鋺)の中に新羅の古文書である厚手の楮紙が挟んであった。これは出納帳の1枚で、定期的に一定量の穀物を収納、支出した記録であったという。どうも、新羅からの「佐波理」鋺を日本に輸出するとき、荷造りのパッキング役を担わされたものと思われる。

 「佐波理」の皿は700口あり、加盤同様、相当数は未使用でキラキラ光る。全体的には共通した作風であるが、形態は、縁反りのある厚手・平底・面取平底・丸底・有環などと、各種ある。

 「佐波理」の匙は、その面が円形のものと楕円形のものとがある。両方1本ずつ一組にして薄紙で巻き、さらにそれを10組計20本、1束にして紐で結んだ状態のものがまったく未使用のまま伝存している。

 新羅でもこれとそっくりの形式の円匙と楕円匙がセットになって、慶州雁鴨池、黄海道平山郡、忠清南道扶余の扶蘇山などの遺跡から発見されている。

 さらに「買新羅物解」(新羅からの輸入物品購入に関する公文書)に、「鏡・五重鋺・盤・香炉・錫杖」などと合わせて、「匙や箸二具」とあるから、「佐波理匙」(箸も)が新羅の輸出品であること、分明である。

 ところで、年配の在日朝鮮人がこの「佐波理」なるものを実見したとすれば、「おやおや、これは真鋳製のサバル(紫降=沙鉢―蓋付きの食器)じゃないか」ということ必定である。

 つまり、「佐波理」とは朝鮮語「sabal」の日本語音表記であった。(朴鐘鳴・渡来遺跡研究会代表)

[朝鮮新報 2011.4.11]