花粉のような 柔らかな猫の毛に 優しい春の香気が漂います
金の鈴のような まあるい猫の目に 狂おしい春の焔が立ち上ります
静かに閉じた 猫の口元に ふっくらと 春の眠気が彷徨います
鋭くぴんと生えた 猫のひげに青々と 春の生気がはしゃぎまわります
1924年3月
リ・ジャンヒ(1900〜29)
詩人。慶尚北道大邱生まれ。号は「古月」。24年「金星」に「そよ風が吹き過ぎたあと」などを発表し登壇。以後、「黎明」「朝鮮文壇」などに30余編の詩を発表。その他代表作に「夏日小景」「青天の乳房」などがある。(選訳・金栞花)
[朝鮮新報 2011.3.7]