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〈みんなの健康Q&A〉 あいさつ−受け止め方

 ようやく寒さも峠を越し、日中は暖かさも感じられるようになってきました。そして、もうしばらくすると、街には社会人1年生やピカピカの大きなランドセルを背負った小学新1年生を見かける季節がやってきます。

 そこで、今回はコミュニケーションの基本である「あいさつ」について、私が日頃、感じていたことを話したいと思います。

 「あいさつ」というこの言葉は、小学校に入学し、一番初めに教わった覚えがあります。

 しかし、日常生活ではそれ以前にも、両親や近所のおばちゃんなどに、何かにつけ(たとえば朝には「おはよう」、就寝前には「おやすみなさい」などと)、ごく自然にしていたものでした。

 このように、日頃みなさんが意識することなくしている「あいさつ」を、今回はそれをもう少し細かく、「心理学」から言葉も借りて、ちょっとだけ難しく、科学的に考えてみたいと思います。

 以前この紙面で、週に数回(ほんの少しですが…)、私が主夫をしていると話したことがあります。

 仕事が休みの日のみの限定ですが、私の主夫業の一つに、娘の幼稚園の送り迎えがあります。

 年長、年少組の2人の娘を自転車に乗せ(親としては喜ばしいのですが、娘2人は健やかに成長し、そのため、思いのほか重く、ハンドル操作が日に日に困難になってきています)、5分も経たずに幼稚園に着くと「そこ」だけは朝の静けさとは別世界で、幼稚園の入り口では子どもが元気に走り回っていたり、それを追いかける母親がいたりと、活気に溢れています。

 子どもを送り届けた数人のママさんたちが、あちらこちらで「井戸端会議」で情報交換をしています。その光景は一種独特で、「苦手」とまでは言いませんが、男性の私にとって「近寄りがたい」雰囲気が漂っています。

 少数派であるパパさんたちにとっては、その輪に入り、あいさつをするには少しだけ勇気が要ります。もちろん、顔見知りのママさん(私の嫁さんと親しいママさん友だち)に会えば、ホッとして、元気よく朝のあいさつができますし、笑顔で気持ちよいあいさつが返ってきます。満面の笑みを浮かべてくれると、何かうれしくなったりします。「人は笑顔で迎えられあいさつされると、その相手に好意を抱きやすい」ということです。

 問題は「微妙な」ママさんたちへのあいさつは難しい、ということです。

 同じ幼稚園の制服を着ていて子どもの顔は知っているが、名前は知らないといった程度のママさん友だちにあいさつをしようにも、こちら側に自信がないこともあり、小さな声で「おはようございま〜す」と声を掛けても相手に聞こえないのか、たまに「スルー」されてしまうことがあるのです(娘が通う幼稚園のママさんたちがこの紙面を読んでいないことを願います…)。

 そんな時はやたらと恥ずかしかったり、あいさつしたことを後悔したり、はたまた「無視をされたのかな?」と被害者の心理にもなり、娘を幼稚園に送り届け、今、話したことを、あーでもない、こーでもない、と考えながら、軽くなった自転車に、足取り重く帰路につくのです。

 ママさんたちの中には「アタシ今日はノーメークだから、顔を見られたくないな〜。気づかなかったことにしよう」と思って、あさっての方向を向く人もいるかも知れません。中には忙しい朝なのに、幼稚園の準備に子どもがぐずり、遅刻を気にしつつも、周りの目があるので冷静に、でも、心の中ではとり乱し、「誰のためのこんなに急いでいるのよ〜」と叫びながら、一生懸命自転車をこいで来るママさんもいるかも知れません。

 実は私もたまにその一人となります。心に余裕がないときには、あいさつを省きたくなっても不思議ではありません。(駒沢メンタルクリニック 李一奉院長、東京都世田谷区駒沢2−6−16、TEL 03・3414・8198、http://komazawa246.com/)

[朝鮮新報 2011.3.2]