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〈本の紹介〉 日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構

「北の脅威論」を論破

 本書は1951年に締結された旧米日安保条約と60年に改定された現行の安保条約について、著者が国会の議事録と首相官邸・外務省・防衛省(防衛研究所)のウェブサイト、さらには国会での政治家や官僚の発言を綜合、分析して、この条約の好戦的で侵略的な本質を余すところなく剔抉、刮目に価する研究書だ。

 論点の中枢は、新旧を問わず安保条約が日本国憲法に違反しているのみならず国連憲章さえも犯しており、この条約のもとでは、自衛隊は米国の世界戦略・軍事技術・指揮権に絡め取られる事実を論証するところにある。

 著者は、安保条約のどの条項も、在日米軍が日本を守るという保障を与えていないことを論証して条約の虚構を衝き、日本が中国・ロシア・朝鮮から武力攻撃されることはありえない理由を理路整然と示し、朝鮮脅威、中国横暴、日本の国益を武力で守れというパラノイア(妄想症)的風潮の危険性に警鐘を鳴らす。

 前7章のうちの終章の(T)「極東条項の無効性を問う」では喫緊の課題として朝米・米日間の諸問題について提言を兼ねた論及を展開する。

 ここでは、日本がかつて米軍と一体となって朝鮮戦争に参戦した事実を暴き、休戦後も安保条約に依拠して朝鮮の分断固定化に力を傾注してきたことを批判し、朝・日国交正常化の早期実現を求めている。そのためには平壌宣言を履行することこそが肝要であり、日本は植民地時代の清算はいうまでもなく、朝鮮戦争の当事国であり戦争特需の恩恵を受けながらも分断固定化と国交断絶を意図した「戦後責任」をも問われるべきであることが開陳されている。

 朝米関係では朝鮮半島の非核化には、朝鮮が核開発をせざるをえなくなった根本的理由を解明して「北朝鮮にとっての(傍点原文)『脅威』を取り除く交渉」が不可欠であるとし、「北の脅威」キャンペーンの誤りを論破し、朝鮮の統一問題は、朝鮮戦争の終結宣言と朝米平和条約の締結、国連軍、在韓米軍の撤退というスケジュールで解決すべきだと提言している。そしてこれが実現すれば安保条約の必要性も消滅することを予測する。

 日本の現在を深く愁い日本の将来を明るくしようと訴える本書が多くの読者を得ることを願う。(中野憲志著、新評論、2900円+税、TEL03・3202・7391)(卞宰洙・文芸評論家)

[朝鮮新報 2011.2.10]