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迎春公演観覧の母親訪問団 「祖国へのあふれる感謝」

 【平壌発=姜イルク】「学生少年たちの迎春公演」に出演する在日朝鮮学生少年芸術団の母親たちで構成された訪問団の祖国訪問が恒例化しつつある。今年も、在日本朝鮮民主女性同盟愛知県本部の金玉枝民族圏部長を団長とする訪問団が1−8日まで祖国を訪れ、子どもたちの晴れの舞台と2012年に向けた祖国の現状を見た。

母親たちも涙

迎春公演に出演した在日朝鮮学生少年芸術団

 毎年平壌で開催されている「学生少年たちの迎春公演」に、在日朝鮮学生少年芸術団が参加できるようになってから今年25年目になる。

 迎春公演に参加する子どもの姿を見ようと祖国を訪れる父母は過去にいなかったわけではないが、あくまでも「個別」の訪問だった。2009年から訪問団として訪れている。

 大晦日あるいは元日に行われてきた迎春公演が、朝鮮で民族性が強調される中、2007年から旧正月に行われるようになった背景もある。

 日本当局による差別政策が強まる中でも、朝鮮人の誇りを持って堂々と生きていく自らの姿を描いた幼い生徒らの公演は、毎年、祖国人民に深い感動を与えた。

 公演は、母親たちの感涙もさそった。

 愛知朝鮮中高級学校の安鈴姫さん(中2)と名古屋朝鮮初級学校の安琴姫さん(初6)の母である金玉枝団長は、3年前に総聯の活動家だった夫を亡くした。「夫が生涯抱いていた願いが娘たちを迎春公演に送ることだった。娘たちは、亡き父の心情を知って、学校でも一生懸命練習し、そして審査に合格して舞台に立てることができた」と、感極まりながら話した。

公演を観覧したオモニたち

 また、「娘たちの顔を見て、祖国の関係者にたくさんの愛をもらったということが瞬時にわかった」としながら、祖国への感謝の気持ちを口にした。

 東大阪朝鮮中級学校の姜玖美さん(中2、次女)の母、朴京任さんは、今年で4年連続の迎春公演「参加」となる。長女が出演した際も欠かさず来た。

 「公演の内容がとても良かった。毎年感動するが、言葉では表せられない、また違った感動がある。この素晴らしい舞台に娘が立っていることに胸が熱くなった」

 朴京任さんは、初級部3年生の3女が今後、公演に出演できるならまた参加したいと話した。

深まる関係

 今年の訪問団メンバーは4人とやや少なめだったが、旧正月の祝日を祖国で過ごしながら充実した日々を送った。

 万景台、牡丹峰公園、金日成総合大学の電子図書館、水泳館などを参観し、市内各所で「買い物めぐり」。国立交響楽団や三池淵楽団の公演を観覧し、子どもと一緒に祖国にいる親戚とも面会した。また、旧正月に際して平壌ホテル大ホールで行われた宴会にも参加した。

 北海道朝鮮初中高級学校の梁未佳さん(初5)の母である金順愛さんは、22年ぶりの祖国訪問となった。「街も数段きれいになって、とくに街を歩く女性がみなファッショナブルだったことが印象深い。これだけを見ても人々の暮らしぶりが向上していることがわかる」と感想を述べた。

 愛知朝鮮中高級学校の金世那さん(中2)の母、黄香順さんは、娘が年齢上、迎春公演に参加できる最後の機会ということで祖国訪問を決心したという。

 在日本朝鮮文学芸術家同盟東海支部の舞踊部副部長の黄香順さんは、朝鮮舞踊教室「舞姫」の代表、講師を務めている。祖国訪問期間、国内有数の民族芸術団の人民俳優にマンツーマンのレッスンを受けることができた。「旧正月の休みも返上して、こちらの日程に合わせて何回も出向いてくれた。本当に感謝している」と話した。

 訪問団メンバーらは、学校の「オモニ会」役員を務めた経験があるなど、学校運営に高い関心と熱意を傾けている。

 祖国滞在期間、メンバーらはひとつの部屋に集まって、おのおのの地域での経験や情報を交換したりした。見ず知らずのメンバーだったが、関係は深まり、日本に帰っても連絡を取り合う約束をしたという。

[朝鮮新報 2011.2.8]