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〈みんなの健康Q&A〉 花粉症−予防と対策

 Q:そろそろ花粉症の季節です。予防のためにはまず何が大事ですか。

 A:春先の花粉症起因物質はスギ・ヒノキですが、予防的手段として最も大切なことは花粉アレルゲンの回避、すなわち花粉を吸入しないことです。花粉飛散情報はテレビやラジオ、新聞だけでなく、インターネットからも入手できます。花粉が都市部に到達する時刻はだいたい午後3時半頃で、ピークは夕方5時半頃、遅くとも午後8時にはそれも収まります。

 Q:日常生活で気をつけなければならないのは、どのようなことですか。

 A:風の強い晴れた日は花粉の飛散が多いので、外出時には、覆い付きのめがね、ゴーグル、マスク、スカーフを着用するのがいいでしょう。衣服は花粉が付きにくいスベスベした素材のものを選び、髪は小さくまとめて花粉が付きにくくします。家に入る前は、玄関先で衣服や髪、持ち物に付いた花粉をはらうようにしましょう。最近は花粉除去専用のブラシが手に入ります。

 さらに心がけていただきたいのは、外から帰ったら手・目・鼻を洗い、うがいをすることです。洗濯物は花粉の付きにくい場所に干しましょう。空気清浄機や、花粉の付着を抑制し除去しやすくするスプレー剤など、屋内での花粉対策用品もあります。

 Q:スギ花粉症の患者では朝起床時にくしゃみや鼻汁が目立つと言われていますが、これにはどう対処すればよいのですか。

 A:アレルギー反応は、体が休息している副交感神経優位時に起きやすいとされています。睡眠中から覚醒直後にかけてはまだ副交感神経が優位な状態ですが、その後、速やかに身体活動を活発にする交感神経優位に移っていきます。したがって、覚醒直後に原因抗原を吸入するか、すでに吸入していることがこの「朝発作」の原因と考えられます。

 対策として、布団の中で足首を前後に動かす運動を3〜4分行うことが推奨されています。こうすることで全身の血流循環を促し、すぐに交感神経が活動しはじめます。また、起床後すぐにマスクをするのもよいでしょう。

 Q:花粉症によいという触れ込みで飲み物や食べ物が続々と登場していますが、効果のほどはいかがでしょうか。

 A:日本では甜茶(甜茶懸鈎子という植物のお茶)、ヨーグルト、シソ、クロレラなどがよく使われているようです。心理的・暗示的効果を含めても20%以下の効果しかありません。また、花粉飛散が終われば自然に症状は治まるため、あたかもそれらが効いたかのような錯覚をしてしまいます。しかし、実際には有効性を示す科学的根拠のないものが大半です。効果が高いなら、その成分を使った薬剤がとっくに出ているはずです。

 Q:花粉症に対してもいろいろと民間療法が盛んなようですが、効果はあるのでしょうか。

 A:鼻スチーム療法は温度を守れば副作用もなく、使用中の一時的効果は期待されますが、施行後にリバウンド現象で逆に鼻閉がひどくなる人もいます。

 アロマ療法は心身のストレス解消には良いかもしれませんが、花粉症を予防したり、治してくれるという科学的根拠はありません。ハーブ類、ツボ押し、ホメオパシー、各種「水」製品などにも有効であるという客観的証拠はありません。

 Q:よく体質を改善して花粉症を克服すると言いますが、可能なのでしょうか。

 A:「体質」という言葉が安易に使われていますが、医学的には極めてあいまいな表現です。同じ生活様式、環境下でも太りやすい、身長が高いなどといったことはありますが、これはあくまで遺伝的な素因や背景が関与するものであり、簡単に変えることはできません。

 あえて言えば、生活環境・習慣の改善あるいは医療的介入によって肥満が是正されたり、さらに諸疾病を予防するということは可能であり、これをもって体質改善とするなら理解できます。

 体質改善という言葉をやたら宣伝文句に使う広告をよく目にしますが、かなり怪しいものと疑った方がよいでしょう。中でも「免疫力の低下が花粉症によくない」としきりに力説する宣伝がありますが、これもとてもあいまいで誤解を招く表現です。何か関連商品を売ろうとするときの殺し文句みたいなものですね。実際は免疫活動が活発な若い人に花粉症は多いわけですから、だまされないようにしてください。

 Q:花粉症体質の改善法はありますか。

 A:先ほど述べた体質改善という意味では医療で行う免疫療法がそれにあたるでしょう。従来から皮下注射による抗原特異的免疫療法(減感作)がありますが、最近新しい方法として舌下免疫療法というのが注目されています。まだ一部の施設での臨床試験段階ですが、実用化されれば花粉症治療に広く使われるようになると思います。(金秀樹、あさひ病院院長、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2011.2.2]