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〈第33回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールから〉 初級部 6年 作文部門 1等作品

ハルモニは健康博士

 「いらっしゃいませ!」

 今日も焼肉店「平和亭」には、ウェハルモニ(外祖母、以下ハルモニと表記)と叔父さんの元気な声が響いています。

 私のハルモニは、叔父さんと一緒に焼肉店で働いています。

 私はハルモニと家族、そして「平和亭」が大好きです。

 ハルモニが作るおいしい料理、いつも笑いがいっぱいあふれるお店の雰囲気、そしてお客さんを喜ばせようと一生けん命働いているその顔…。

 「平和亭」に行くといつも私の心も温かくなります。

 そんなハルモニは、自分の健康や孫たちの健康に特別な注意を払っています。

 ニュースやテレビで報じられる健康関連情報を聞いて、病気を防ぐための料理を作ります。そんなハルモニを見て、孫たちは「健康博士」と呼んでいます。

 本当にハルモニが作る料理は、すべておいしく体にも良いのです。

 私が一番好きな、カルビクッパやピビンバ、冷麺、豚足、キムチもすごくおいしいです。

 それだけではありません。

 親せきが集まるとき、孫たちの運動会があるとき、いつも作ってくれる朝鮮料理だけではなく、洋食までもがおいしいのです。

 オモニが作る料理ももちろんおいしいけれど、その理由は、たぶんハルモニから料理を教えてもらったからだと思います。

 (ハルモニはどうしてこんなに健康のためになる料理がうまいんだろう?)

 疑問に思った私は、ある日、オモニに聞いてみました。

 「オモニ、どうしてハルモニは、私たちの健康を気づかって体にいい食べ物を作ってくれるの?」

 「それは、ウェハラボジ(外祖父、以下ハラボジと表記)が亡くなったからよ。ハルモニは、ハラボジの病気を治せなかったことで今も胸を痛めているの。そんなことが二度と起こらないように、自分の健康と、家族、親せきの健康に気をつかっているのよ」

 (ハルモニが健康博士になったのには、そんな悲しいわけがあったのね)

 私はハラボジを祭祀のときに写真でだけ見たことがあります。

 ハルモニは、ハラボジを亡くした悲しみから健康に対してもっと気をつけるようになったのです。

 それでもハルモニは、いくら悲しくても私たちの前では決してそのような素振りは見せず、いつも笑っています。

 私はハルモニの健康は、「明るい笑いと考え」からくるのだと思っています。

 ところが、そんなハルモニの顔を曇らせるできごとが起こりました。

 「健康博士」のハルモニが、手と手首の重い病気にかかってしまったのです。

 これまで大きな病気はもちろん風邪すら引いたことのなかったハルモニだっただけに大きなショックを受けました。

 病気は日ごとにハルモニの手の機能を奪っていきました。

 「健康博士」を、お店の仕事や料理もできなくしていきました。

 私は夏休みにハルモニの手伝いをしようとお店に行ったけど、焼き肉店の仕事をできないハルモニは寂しそうに見えました。

 ハルモニの手と手首はどんどん悪くなり、日常生活にも支障をきたすようになりました。

 あれほど健康だったハルモニが、シャワーも一人では浴びられず、ズボンの上げ下げも不便になりました。

 ハルモニの気の毒な姿を見ると自然に涙が出ます。

 (私がハルモニの手になれたら良いのに…)

 ハルモニの姿をとても見ていられなくなった家族、親せきは、手術を受けるよう勧めました。ハルモニも手術の決心をしました。

 手術は9月21日に決まりました。

 9月18日に親せきが集まり、敬老会が開かれました。

 私をはじめ孫たちは、それぞれ「ハルモニ、21日に手術を受けるんでしょう?」「痛いと思うけど、がんばってね」と声をかけました。

 私も「手術は痛いけどがまんしてね。そして、早く治してまた元気で明るい健康博士になってね」と心を込めてはげましました。

 私がその後ハルモニに会ったのは、秋夕の日でした。

 手術を無事終えて、ハルモニは包帯を巻いて出てきました。やっぱり手術後は痛いのか、祭祀の準備は全部オモニと叔母さんたちがやりました。

 (ハルモニ、大丈夫かな? 痛いからか元気がないのかな…)

 私はハルモニに手術について聞けませんでした。

 私の気持ちを知ってか、中級部生のスングム姉さんがたずねました。

 「ハルモニ、手術をしたんでしょ? 痛かった?」

 ハルモニは悲しそうな顔をして、「うん、痛かったよ。見るかい?」と言って、包帯を解きはじめました。

 傷を見ると、私も手首が痛くなりそうでした。傷を見ると、いつも優しく笑っていたハルモニの笑顔には、どれほど辛い努力と苦労がかくされていたのかが一目でわかりました。

 「ハルモニ、早く手を治して私たちの体に良いおいしい料理を作ってください。私はハルモニの料理を食べたいの」

 涙をぐっとこらえて言いました。

 「よしよし、わかったよ。こんなのすぐに治るさ。そのときにはおいしい料理をたくさん作ってあげるからね」

 ハルモニは私の頭をなでながら優しく言いました。

 (そうだ、ハルモニは『健康博士』だ。だから普通の人より早く治るはず。そしたら次は、私がハルモニから料理を習って「健康博士」になろう! 私はこれから健康について研究して、ハルモニのようにいろんな人の健康に役立つ仕事をしよう!)

(東京朝鮮第9初級学校 姜才玉)

[朝鮮新報 2011.1.21]