北南対話再開の背景 南ネットメディアが掲載 |
朝鮮攻勢、「追い込まれた米」 朝鮮の高位級軍事会談開催提案を南が受け入れ、北南対話が始まる。軍事会談開催に関する提案がなされる直前、ワシントンでは中米首脳会談が行われ、朝鮮半島の安定と「北南会談の必要性」を訴える共同声明が発表された。これまで北南対話に否定的な立場を取っていた李明博政権が中米首脳会談後、朝鮮の提案を受け入れた背景について南ではさまざまな分析や解説がなされている。南のインターネットメディア「統一ニュース」(1月29日)が掲載した、前「韓国民権研究所」常任研究員ムン・キョンファン氏の寄稿を紹介する。 共同声明にない、中米首脳の「合意」 世界の注目を集めた中米首脳会談(1月19日)の核心議題は朝鮮半島問題だった。トム・ドニロン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は去る14日の記者会見で、「安保および政治懸案のなかで北朝鮮の問題がトップの議題になる」とし、経済分野よりも朝鮮半島問題がより重要だと指摘した。 しかし、中米首脳会談で発表された共同声明では全41項目のうち18番目の項目が朝鮮半島問題であり、その比重は決して高いものではなかった。これは首脳会談で米国と中国が具体的合意に至れなかったか、具体的合意に至ったが対外的に公開できない事情があったためだ。朝鮮半島問題が核心議題だったのに具体的合意に至れなければ、事実上会談は失敗したと見なければならないが、会談後の両首脳の表情を見ると、そうではなかった。つまり具体的合意はあったが、共同声明に込めるには負担になる「何か」があったと推測できる。 昨年、金正日国防委員長の2度にわたる訪中によって、朝中友好関係は最上の境地に至っている。朝鮮は新年共同社説でもこれを強調した。昨年末、延坪島砲撃事件直後、中国の戴秉国国務委員が特使として平壌を訪問したが、ここで朝鮮の立場が伝達されたはずだ。 朝鮮のメッセージとは何か。昨年末、訪朝したリチャードソン米ニューメキシコ州知事は朝鮮側と、核燃料棒の海外搬出のための協議をすることで合意したと言われている。また、未使用核燃料棒の売却交渉にも同意した。しかし核燃料棒に関連する交渉を州知事を相手にするはずがなく、これは朝鮮と米国が今後この問題と関連した交渉をすると理解するべきだ。リチャードソン知事よりも先に訪朝した米・社会科学院のシーガル博士(安全保障専門家)によれば、朝鮮は米国が2000年10月に合意した朝米共同コミュニケを尊重すれば、朝鮮は使用済み燃料棒を第三国に移転する用意があるとしたという。つまり、リチャードソン知事が話した核燃料棒搬出交渉合意の裏面には、朝米共同コミュニケを尊重するという米国の約束があったという意味だ。 中米共同声明18項に3度も言及された9.19共同声明の基になっている朝米共同コミュニケには、朝鮮半島の平和体制樹立、相互尊重などの内容が込められている。これは朝鮮が一貫して米国に求めていたことだ。 朝鮮は、シーガル博士やリチャードソン知事など、訪朝した米国人士たちを通じ平和協定締結と朝米国交樹立を要求し、それらを裏付け、あるいは一歩踏み込んだ提案を、中国を通じて行ったと見られる。米国はおおむね同意するだろう。これは米国の対朝鮮政策が変化したというより、米国としては他の方法がないため、そのように対応するしかないということだ。 孤立する南、求められる宣言履行 ボールは李明博政権に投げられた。米国が終始一貫、北南対話の先行を要求したように、今回の共同声明でも「北南対話が必須」だという文言が入った。米国が北南対話先行に固執する理由は、朝米対話を後回しにする口実になると同時に、朝鮮の要求に押され朝米対話を行ったとしても、自国のメンツを保てるからだ。 朝鮮は年始から李明博政府に向けた対話攻勢を展開し、中米首脳会談直後にも高位級軍事会談を提案した。李政権もこれを受け入れた。南の保守メディアは、首脳会談の結果に驚いた北側が急いで対話提案をしたと解説しているが、これは事実と正反対だ。むしろ対話提案を避けてきた李政権が、首脳会談以降に何らかの理由から立場を変えたと見なければならない。 報道によれば1月26日、金星煥・外交通商部長官とスタインバーグ米国務副長官との会談(1月26日)直後、南の高位当局者は、「『天安』号、延坪島事件に対し北の責任ある措置が6者会談再開と関連し政府の判断に影響を与えるが、それは直接的な前提条件ではない」と明かした。12日前の14日には、千英宇・外交安保首席秘書官が「『天安』号と延坪島に対して(責任を)認め、遺憾を表明する前には公式的な南北対話を再開しない」と発言していた。 米国は、北南高位級軍事会談で「天安」号、延坪島問題が解決されなくとも6者会談を再開するだろう。李政権は対北強硬政策で、孤立する立場になった。 北側は祖国統一民主主義戦線を通じて、国会会談を提案した(1月28日)。国会会談は10.4宣言で北南が合意した事項だ。北側は高位級軍事会談を通じて、朝鮮西海衝突の再発防止のための対策を提起するだろうが、これも10.4宣言に西海平和協力特別地帯という解決策が明記されている。 結局、北側は李政権が否定した6.15、10.4宣言を一つずつ現実化していこうということだ。 いまや平和のための解決策を探す時だ。答えはすでに出ている。 李政権が反北対決政策を捨て、6.15、10.4宣言を尊重すればいい。 [朝鮮新報 2011.2.4] |