那覇市でチュチェ思想セミナー 沖縄から朝鮮半島を考える |
沖縄チュチェ思想研究所連絡会主催(チュチェ思想国際研究所後援)の「チュチェ思想新春セミナー」が1月8日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館で開催された。セミナーには、チュチェ思想全国連絡協議会の佐久川政一会長(沖縄大学元学長・名誉教授)、沖縄社会大衆党の島袋宗康元委員長、日本キムイルソン研究会の田代菊雄会長(ノートルダム清心女子大学名誉教授)、沖縄大学の高良有政名誉教授、チュチェ思想研究所の尾上健一事務局長をはじめ沖縄の学者、社会運動家、全国のチュチェ思想研究者約100人が参加した。
基地正当化の口実
セミナーでは、佐久川政一名誉教授が「沖縄とアジアの平和」、朝鮮大学校の韓東成教授が「朝鮮における『強盛大国』建設を展望する」、立命館大学の中戸祐夫教授が「現代国際関係論の『自主性』」と題して報告を行った。 佐久川名誉教授は、全国の国土面積のわずか0・6%、人口は1%の沖縄に、日本に駐留する米軍基地の75%が集中している現状を説明しながら、沖縄は人権がまったく保障されていない地域であると述べた。 また、日本は米国の世界戦略の片棒を担いでいると現政権の対米従属姿勢を指摘した。そして「北朝鮮脅威論」が煽り立てられ、米軍基地の正当化と日本の軍事大国化が進められている現状に警鐘を鳴らした。 佐久川名誉教授は沖縄の基地問題の解決、日米安全保障条約の破棄は、アジアの平和と朝鮮の統一に結びつくものであると述べ、民衆が団結して自主性を発揮すべきであるとし、チュチェ思想を学んでこそ、運動を正しく推し進め、輝かしい沖縄とアジアの平和を実現することができると訴えた。
統一の展望
韓教授は、今年の朝鮮の3紙共同社説(1月1日)では21世紀最初の10年に対する総括がなされているとし、冒頭部分を引用しながら、朝鮮が反帝自主の最前線となって時代を切り開いてきたたたかいの10年であったと解説した。 また、朝鮮は経済的には自力更生の道を進み、政治的には国際関係における自主をあくまで貫き、その困難を克服する過程で人民が思想的な主体を確立し、それに基づいて団結したと述べた。 韓教授は昨年の成果の一つとして、9月末に朝鮮労働党代表者会が開催され、金正日総書記が朝鮮労働党総書記に再び推戴されるとともに、最高指導機関が選出されたことについて言及。今年から始まる21世紀の次の10年は、強盛大国の扉が開かれ民族分断に終止符がうたれる自主、統一、繁栄の年代になるという展望を示した。 「自主」の追求を 一方、中戸祐夫教授は日米安全保障条約、憲法9条、自衛隊という相容れない三つを支持していることに、日本が抱える矛盾と戦略的曖昧性が見えると指摘。自主よりも生存と繁栄が国益として優先され、そのコストが沖縄への負担となっている日本の矛盾と、人間中心思想に基づいて自主への侵害を国家生存に関わる問題として把握する朝鮮の対外政策の特徴を対比しながら、日本社会で多様なレベルでの「自主」を追求することを提起した。 参加者からは沖縄が日本、アジア、世界に向けて自主と平和を発信する地となることを確信するとの感想が寄せられた。 セミナー後には宴会が催され、チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長が開会のあいさつをした。尾上事務局長は、チュチェ思想研究セミナーが沖縄で開催されたことは、われわれチュチェ思想研究者にとって意義あることであると述べ、日本にもっとも近い朝鮮が今後も発展していくこと、チュチェの祖国である朝鮮の発展と一日も早い日朝国交樹立を願うと話した。 [朝鮮新報 2011.2.2] |