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〈久しぶりに訪朝して-C-〉 多くを学んだ「2日間」


一糸乱れぬ動き

大マスゲームと芸術公演「アリラン」のワンシーン

 その後、対文協の洪善玉副委員長を表敬訪問した。2年前にも私たちを出迎えてくれた方で、「県民の会の2度目の訪朝を歓迎します」と、にこやかにあいさつした。短時間ではあったが友好的に懇談することができ、再会を誓い合ってその場を後にした。

 夕刻、大同江を遊覧する船上で答礼宴を催し、主賓として黄虎男局長においでいただいた。

 遊覧船の上という開放的な雰囲気の中で、私たちは日本語の堪能な黄虎男局長と気軽に会話し友好を深め合った。

 多少、酔いのまわった私も黄虎男局長と名刺交換し、「部落解放同盟としても日朝友好に取り組まなければならないと考えています」と話しかけると、「部落問題について興味があるので、私も勉強しています」との言葉が返ってきた。対文協日本局長ともなると、ここまで知っているのかと少々驚きであった。

 夜は、メーデースタジアムで大マスゲームと芸術公演「アリラン」を鑑賞した。10万人の一糸乱れぬ動きには感心してしまう。

 内容は、抗日パルチザンから祖国解放、朝鮮戦争、南北分断、現在の朝鮮へとストーリー仕立てになっており実に見事だ。こればかりは、実際に見てみないと、あの見事さはわかってもらえないだろう。

日朝間の課題

 ホテルに帰ると、すでに午後10時を回っていた。翌日は、9時発の飛行機で帰国の途につかなければならなかった。4泊5日の行程とはいっても、1日目は北京泊で、2日目の夕刻に平壌到着。結局2日間しか朝鮮を見て回ることができなかったが、中身の濃い親善友好の旅となったことは間違いない。

 日本と朝鮮の国交回復にはさまざまな課題が存在しているが、2002年に当時の小泉首相と金正日国防委員長との間で結ばれた日朝平壌宣言には、「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した」と明記されている。つまり、日朝間の懸案事項は、「国交正常化の実現に至る過程」で解決を目指すということであり、一部の政治家が「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」と主張する論理は、この宣言の趣旨に反している。

 拉致は犯罪行為に違いないと思うが、日朝間の課題は戦後処理の問題を含め数多く存在しており、それらすべてを解決するためには、何よりも国交正常化交渉を優先させることが大切なのである。黄虎男局長の「日本は米国の核の傘に頼っています。もっと、アジアに目を向けるべきではないでしょうか」の言葉が心に残る。

 今回の訪朝では数多くのことを学ばせていただいたが、知識は実践に繋がってこそ意味を持つものである。今後も、私自身の問題として日朝友好に取り組んでいきたい。(部落解放同盟兵庫県連合会事務長・川端勝)(おわり)

[朝鮮新報 2011.1.28]