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〈久しぶりに訪朝して-B-〉 核問題の議論は平行線


対文協と意見交換

対文協主催の歓迎宴では率直な意見が交わされた

 この夜、普通江ホテルで朝鮮対外文化連絡協会(対文協)が歓迎宴を催してくれ、率直に意見を交換し合った。

 冒頭、対文協日本局の黄虎男局長が、「皆様の訪朝を心から歓迎します。皆様方が在日同胞の権利擁護に取り組まれていることに敬意を表します。朝・日友好のために乾杯しましょう」とあいさつした。これに応えて、杉田哲団長からは、「高校無償化」制度の朝鮮学校適用を求めて署名活動に取り組んだことなどが報告され、「今後も民間レベルでの日朝友好に全力で取り組みます」との決意が述べられた。

 歓迎宴では、初めて訪朝したメンバーから「平壌のきれいな街並に驚いた」など、朝鮮の印象が語られた。また、あるメンバーからは、「知人から、なぜ北朝鮮に行くのかと言われたが、来てみて分かったことが多い。帰国後、いろいろと話してやりたい」といった感想もあった。

 歓談の中で黄虎男局長は、朝鮮の現状について触れ、「われわれは金日成主席の生誕100周年にあたる2012年までに強盛大国の実現を目指しています。朝鮮半島の非核化というが、南朝鮮には米軍の核兵器が数多く存在しています。核兵器廃絶には賛成ですが、わが国が核を保有しなければならなかったのは米国に対する自衛措置なのです」と話した。

 これに対して今西正行副団長は、「世界最初の被爆国という立場からは、貴国の核兵器保有はいかがなものか」と反論したが、議論は平行線のままだった。

 私自身も、朝鮮が核武装することに疑問を持っているが、黄虎男局長の「日本は米国の核の傘の下に頼っています。もっと、アジアに目を向けるべきではないでしょうか」「朝鮮戦争は今も続いています。休戦協定は結ばれたが、あくまでも停戦ではありません。米国や日本が挑発するなら、自衛措置を取らざるを得ないのです」の言葉に反論することはできなかった。

 この問題については、もっと議論が必要だが、まず互いの立場を理解し合うという作業が大切である。そのためにも、「県民の会」のように何の政治的利害も介入しない民間交流を通じ、本音で話し合う関係を構築することが大切なのだと感じた。

 このような難しい話もあったが、私たちは何度も乾杯を繰り返し、終始和やかな雰囲気の中で歓迎宴を楽しんだ。しかし、私にとっては多くの宿題をもらった歓迎宴でもあった。

驚きの地下鉄見学

 3日目、朝鮮革命博物館前の巨大な金日成主席の像の前で記念撮影した後、大同江ビール工場を見学した。

 02年に稼働したこの工場では、1日あたり7万gを製造しているとのこと。1番から7番まで、数字で銘柄が区別されており、私たちがホテルで飲んだものは2番だったが、6番と7番は黒ビール。5番は白米とホップを原料に製造されているという。試飲させてもらったビールも2番だった。「全銘柄を飲みたいなら何度も訪朝して下さい」と、金明日さんが笑って冗談を飛ばした。

 昼食は平壌冷麺。しかし、2年前に行った玉流館が改装中のため高麗ホテルで平壌冷麺をいただくことになった。大同江のほとりに建てられた玉流館は、雰囲気もよく冷麺の味も抜群だ。今回も楽しみにしていたので、正直残念であった。康永洙副委員長が「玉流館と同じくらいおいしいですよ」と言ったが、やっぱり「玉流館」の方がうまかった。

 午後、金日成総合大学電子図書館を見学した。図書の検索などをコンピューターで管理する近代的図書館との説明があった。大勢の学生たちが真剣な様子でパソコンに向かっていた。ここは、朝鮮を代表する大学であり、さしずめ日本でいうと東京大学にあたるという。それゆえ、超エリート養成のために図書館にも近代的なシステムが導入されているのだろう。同じ敷地内には、50メートルの室内プールがあり、ここでも大勢の学生が水泳の練習をしていた。

 その後、地下鉄を見学。ひと駅だったが、試乗もさせていただいた。日本の地下鉄とは違い、とにかく深い。恐ろしく長いエスカレーターで下っていくと、とても広いホームがある。地下100メートルほどのところに地下鉄が走っているという。きっと、有事の際には市民の避難場所として使用されるに違いない。ホームには見事な壁画や、シャンデリアのような照明が施されてあった。駅名は「光復駅」「建国駅」「建設駅」と名づけられており、このあたりが朝鮮らしい。ホームや車内の照明が薄暗いのは、電力事情のせいだと思われたが、市民の重要な移動手段となっている。 (部落解放同盟兵庫県連合会事務長・川端勝)(つづく)

[朝鮮新報 2011.1.26]