〈月間平壌レポート -11年4月-〉 名節喜ぶ温かい雰囲気 |
被災同胞心配する声も 平壌発=鄭茂憲】今冬、平壌は例年にない寒さに見舞われた。寒さには強いという知人でさえも、「今年は堪えた」とこぼしていたほど。それだけに、4月に入り沿道を彩る花々の美しさが、いつもよりもいっそう映えて見えると、ある市民は話した。
芸術世界に魅了
金日成主席生誕から99回目の春を迎えた4月の平壌市内は、名節を喜ぶ温かい雰囲気に包まれた。市民たちは、「生誕100周年を迎える2012年がとても楽しみだ」と、声をそろえていた。 今年で27回目を迎えた4月の春親善芸術祭典(12〜18日)。12日に幕を開けた祭典には、中国、ロシア、ドイツなど各国の歌手や演奏家たちが出演し、優雅な芸術世界に市民たちを誘った。公演を見ようとする市民たちで各劇場は連日のように満席で、テレビでも毎日放映された。 また今年も、金剛山歌劇団メンバーからなる在日朝鮮人芸術団が参加し、祭典に彩を添えた。14日には青年中央会館で、在日、在中、在米、在ロの海外同胞芸術団による総合公演が行われた。 在米同胞男性の独唱で始まり16の演目が披露されたこの日の舞台で、金剛山歌劇団はトリを務め、チャンセナプ独奏、男性独唱と3つの舞踊を披露した。各演目ごとに惜しみない拍手が送られると共に、公演が終わり全出演者が舞台に上がると会場はスタンディングオベーションで迎え、すばらしい公演を見せてくれたことへの感謝の気持ちを表していた。 会場出口に向かおうと席を離れかけた時、後を歩いていた女性たちの会話が耳に入った。「やっぱり在日同胞芸術団のレベルが一番高かったね」。その言葉に、支局スタッフと共にうなづいた。
原発事故への関心
18日まで続いた4月の春祭典と並行して開催された第13回金日成花祭典(13〜20日)。 会場となった金日成花金正日花展示館も例年のように市民たちでにぎわっていたが、一つの「変化」が見られた。 それは総連展示台を訪れる市民から寄せられた質問だった。 例年ならば、展示されている花や模型についての質問がなされるのだが、今年は、ほとんどが震災に関するものだったという。 今年、総連展示台の解説員を務めた朝鮮大学校研究員の康悠仙さん(23)によると、連日のように市民たちから、「在日同胞たちは大丈夫なのか?」という言葉をかけられたという。 3月11日に発生した東日本大震災による被害や、福島での原発事故は朝鮮でも詳細に報道された。 在日同胞も甚大な被害をこうむったことは周知の事実だ。それだけに、総連展示台を見ながら在日同胞への心配がこみ上げるのだと、大同江区域に暮らすリ・ヒョンチョルさん(48)は話した。 大震災から1カ月が過ぎた現在でも朝鮮のテレビでは連日のように、原発事故と関連したプログラムが組まれ、ヨウ素やセシウムなどの放射性物質についての解説や予防方法などが伝えられている。 また清津、咸興(咸鏡南道)、元山、海州(黄海南道)をはじめ各地の環境放射能監視所で、福島原発事故によって漏出した放射性物質が引き続き検出されていると報じられている。 同胞たちに向けられた心配と同時に、原発事故の処理を適切に行っていない日本政府に対する非難の声も上がっている。 [朝鮮新報 2011.4.27] |