現代の金剛山観光 独占権取り消し問題 |
「破綻の元凶は南当局」 既報のように、朝鮮アジア太平洋平和委員会(以下、ア太)は8日、スポークスマン談話を発表し、ア太と現代側が結んだ金剛山観光関連の合意書から、現代側に与えた独占権に関する条項の効力を取り消すことを明らかにした。今回の措置について南朝鮮当局は、「合意違反」「受け入れられない」などとしながら、「撤回」を云々しているが、これは南当局が自ら招いたものだ。今回の措置は、南側地域からの観光客をまったく受け入れないというものではなく、そのための窓口を残しつつ、北側地域を通じた観光事業も実施するというものであり、朝鮮の自主権にも関わる問題だ。 朝鮮名勝地総合開発指導局詳報(16日)はこの措置について、「金剛山観光の長期的な中断状態を防ぎ、金剛山観光を求める内外の要求を実現し、観光中断で多くの損失をこうむった現代をはじめとする南側企業の利害関係まで十分に考慮したもっとも合理的で現実的な方案」だと説明している。
■再開への北の努力
金剛山観光事業は、ア太と現代グループが共同で推し進めてきた事業だ。 1998年11月に始まり、10余年間続けられたこの事業は、北南関係を不信と対決の関係から信頼と和解の関係に転換する上で大きな役割を果たした。 しかし、2008年7月に起きた金剛山観光客事件以来、事業は中断している。 それから約3年間、北側は、金剛山観光事業が単なる観光ではなく重要な統一愛国事業だという観点から、事業再開に努めてきた。破局に陥った北南関係を改善させるためには、金剛山観光などの協力事業が一日も早く再開されなければならないというのが北側の立場だった。 観光客事件から約1年後の2009年8月、ア太と現代グループは観光事業の再開など一連の問題に合意した。しかし、南当局は「民間業者」である現代グループを窓口にした合意は認められないとしながら、事業再開に人為的な障害をつくった。 2010年2月には北側の主導的な努力によって事業再開のための北南実務接触が行われ、ア太は金剛山観光の門戸を開くことを宣布したが、南当局は引き続き観光の道を遮断した。 今年の年初にも、幅広い対話と協議を提案する政府、政党、団体連合声明の発表後に観光事業再開のための北南会談開催を呼びかけたが、南当局の反応はなかった。 ■3年間中断の損失 北側はここ3年間、南当局が言い掛かりをつける問題に対しても誠実に対応した。 観光客事件の真相を十分に解明し、南の観光客の身辺安全保証と再発防止措置を講じてほしいということに対しても、総書記が直接保証するという最高の水準で保証した。 また、観光再開のため南側に何度も通知文を送って会談を提起し、南側の立場を考慮した諸提案も打ち出した。 北側は、南当局が観光事業再開を回避していることについて、「観光客の安全が心配だからではなく、金剛山観光が北の金づるになると見て、それを断つための反北制裁策動の一環」(ア太談話)だと見なしている。 およそ3年間の観光中断により、北側にとっては金剛山をただ遊ばせたようなものになり、それによって大きな損失をこうむった。ア太談話によると、「その直接、間接の損失額を合わせれば数千億ウォンに達する」。 「もはや、これ以上金剛山観光が再開する見込みもない」(ア太談話)状況で、やむを得ず朝鮮の法と国際法に準じて合意当事者としての権利を行使。現代と結んだ合意書から、現代側に与えた独占権に関する条項の効力を取り消した。 ただ、北側地域を通じた金剛山観光は朝鮮が受け持って行うが、海外の事業者に委任することができるし、南側地域を通じた観光は現代が引き続き受け持って行うという。 ■変わらぬ信頼と特恵 北側はこれまで、南当局の一方的な措置によって金剛山観光が破たんした条件の下で、すでに効力を喪失した金剛山観光に関する合意を全面的に取り消しても差し支えはなかった。しかし、現代との信頼関係を考慮して現代側と合意書改正のための接触を行ってきた。 今回北側は、現代側に対する独占権は取り消したものの、「われわれと現代との間の信義と協力関係は今後も続くであろうし、南の同胞の金剛山観光を実現させようとするわれわれの立場は変わりない」(ア太談話)という。 朝鮮名勝地総合開発指導局詳報も、「金剛山観光が現実的に破たんしたにもかかわらず、現代側に、先を見通して南側地域観光を引き続き一任したのは、現代に対するわれわれの変わらない信頼と特恵の表れ」だとしながら、「われわれは今後も現代側との信頼を大事にし、金剛山観光事業を手を取り合って立派に行っていくであろう」と指摘した。(姜) [朝鮮新報 2011.4.22] |