31人抑留問題で朝鮮赤十字会 住民帰還に「すべての措置」 |
2月5日に朝鮮西海の坪延島付近で漂流していた北側住民31人が1カ月以上もの間、南側に抑留されていた。朝鮮赤十字会中央委員会は31人全員の送還を求めていたが、15日、「抑留された住民を待つ家族の心情を考慮し、海上を通じて27人をまず送還せよ」と要求した。 南側はこれに応じたが、これで問題が解決したわけではない。 南の当局が「帰順意思」を示したと発表した4人に関しても、最後まで送還を求める北側の立場に変わりはない。 北側住民を乗せた船は坪延島付近に貝類の漁に出かけ、濃霧によって方向を失い漂流した。南側もこの事実を認めていた。北側は、「不当な口実をつけずに住民31人全員と船を漂流した海上経路を通じて、無条件に送還しなければならない」と、南側に要求していた。 南朝鮮当局は、「帰順意思」を示したとする北側住民4人を送還しないとする立場を取っており、また南朝鮮の一部メディアは、南側がこの4人をいかなる場合でも送還しないことを、北側も理解しているという情報を流している。 朝鮮赤十字会中央委員会の崔成益副委員長は8日、本紙のインタビューに答え、「南側の対応は人の運命を篭絡するものであり、われわれの尊厳を侵害する南朝鮮当局の非人道的で犯罪的な策動は、決して許すことができないもの」だとする北側の立場を表明した。
また、「(北側住民の送還は)人道主義以上の重大な北南関係の問題だ。不純な政治目的に悪用し、われわれの正当な要求に応じないなら、大きな禍根を残すことになる」と警告。南朝鮮当局が発表した「帰順」に対し、「1カ月もの間抑留し、壊柔、圧迫で作り出した非人道的な犯罪行為であり卑劣な拉致行為」だと非難した。
また南朝鮮当局の今回の措置は新たな離散家族を生むと述べながら、「彼らに苦痛を強要する反人倫的行為」「北南間の和解と協力に反対し、関係をより悪化させようとする意図的な反民族的行為」だと糾弾した。 南朝鮮当局は北側が求めた、「帰順意思」を示したとする4人と北側家族との直接対面を拒んだ。崔副委員長は「4人が本当に自ら『帰順意思』を示したのであれば、なぜ北側家族との対面すら許すことができないのか。それがすでに今回の問題が謀略であり、拉致だということを物語っている」と強調した。 崔副委員長は、今回の問題と関連した南当局の対応について、▼今年初めから続いた北側の対話攻勢によって立たされた守勢から逃れるためのあがき▼北南高位級軍事会談のための予備会談を決裂させ北侵軍事演習を繰り広げ、情勢を緊張させた責任を北側に転嫁するための画策▼南朝鮮で日増しに高まっている離散家族問題の解決に対するの世論を鎮めようとする策動だとする北側の見解を示した。 また南当局が、北側住民が乗っていた船を「北方限界線(NLL)」上で明け渡すとしたが崔副委員長はそれについて、「われわれに『北方限界線』を認めさせ、西海上軍事境界線をうやむやにしようとするもの」だと指摘した。 一方、31人の北側の家族一同が9日、南朝鮮の統一部長官と赤十字社総裁に抗議の手紙を送った。手紙には、抑留された31人のうち4人が「帰順意思」を示したとする南当局の主張を誰も信じておらず、新たな離散家族になることを望んでいないと記されていると、朝鮮中央通信は伝えた。 またこの4人に北側家族がそれぞれ手紙を送った。手紙は9日、板門店の赤十字連絡通路を通じて本人に伝わるように、南側に送られた。 [朝鮮新報 2011.3.16] |