米南合同軍事演習 北側、「物理的対応は不可避」 |
北侵シナリオの全面適用
北側の度重なる警告にも関わらず、米軍と南朝鮮軍による合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動演習「フォール・イーグル」が2月28日に始まった。南側全域で実施される「キー・リゾルブ」は10日までの11日間、「フォール・イーグル」は4月30日まで継続される。 「韓米連合司令部」は軍事演習開始日に発表した報道資料を通じて、毎年行われている通常の演習だとしているが、北側は「米国の膨大な核攻撃手段を導入した核戦争演習」(朝鮮外務省スポークスマン談話、1日)と指摘。正当防衛のための「物理的対応は不可避」と警告している。 「キー・リゾルブ」は2008年以降毎年行われている、米軍の「作戦計画5027」に基づいた北占領計画を含めた侵略的な戦争演習だ。しかし、今年は北側の「急変事態」を想定し、「概念計画」から格上げされた北侵戦争シナリオである「作戦計画5029」が適用されるという。これまでの演習にも同作戦計画の内容が反映されてきたが、全面的に適用されるのは初めてだ。 米軍参加兵力は、2009年が2万6千人余り、昨年が1万8千人余りだったが、今年は2万人を超え、昨年は投入されなかった米航空母艦も参加するなど規模は拡大された。また、南の軍は動員予備軍も含め20余万人が動員される。これまでは予備軍兵力に対し動員訓練だけ実施されたきたが、今年は「予備戦力の精鋭化」を口実に前方展開訓練が実施される。 一方、核およびWMD(大量破壊兵器)除去演習が行われ、これには米メリーランド州の第20支援司令部が参加することが伝えられている。2004年10月に設立された同部隊は、世界各地の戦場の第一線に派遣され、「WMDの迅速な対応、探知、除去など」が任務とされる。2009年の「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル」には150人が、昨年は350人が参加したとされ、今年は過去最大規模で動員されるという。 また日本の時事通信は、自衛隊幹部も同訓練に参加する模様だと伝え、「米韓日」軍事同盟が強化されるという懸念が高まっている。 朝鮮人民軍の板門店代表部は軍事演習開始前日の2月27日に声明を発表し、「無謀な挑発にいつでも正義の全面戦で対応する」と指摘。また、演習が北側の核およびミサイルの除去を狙っている以上、「朝鮮式の核抑止力」と「朝鮮式のミサイル攻撃で迎え撃つ」と警告した。 今年に入り朝鮮は政府、政党、団体による連合声明(1月5日)を発表し、南側に「幅広い対話と協議」を呼びかけるなど関係改善に乗り出したが、北南高位級軍事会談の予備会談(2月8〜9日)は決裂。北側はようやくもたらされた北南軍部の対話を南側が、「あらゆる妨害策動を尽くした末に決裂させた」と非難した。 特に予備会談で南側は高位級軍事会談の「2月下旬」開催を主張したが、当時すでに今回の軍事演習は準備されており、その時期に会談を開催すれば北側が反発することは明白だった。 前述の外務省スポークスマン談話は、「対話と緊張緩和の機会」が失われつつあると警告した。 労働新聞は1日付の論説で、朝鮮半島で戦争が起これば「核の惨禍」を招くことになると批判のトーンを上げている。(鄭茂憲) [朝鮮新報 2011.3.3] |