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北南対話のスタート 高位級軍事会談提案の背景

「今年を統一年代の起点に」

 中米首脳会談(19日)で「真摯で建設的な北南対話」を求める共同声明が発表された直後、朝鮮は国防委員会・人民武力部長の名義で南の国防長官に北南高位級軍事会談開催に関する公開書簡を送った。これまで北との対話に否定的な立場をとり続けた南側も今回の提案を受け入れた。朝鮮は2011年初頭から南側に対して「幅広い対話と交渉」(政府、政党、団体連合声明)を呼びかけてきた。国際情勢とリンクした積極的な対話攻勢は、「21世紀の新たな10年代」を「統一と繁栄の年代」(3紙共同社説)にするという展望と計画に基づくものだ。

中米の動きを先取り

朝鮮は軍事会談開催を提案し、南側も受け入れた(写真は2007年11月に行われた第2回北南人民武力部長級会談) [写真=聯合ニュース]

 延坪島砲撃事件から2カ月も経たないうちに対話の局面が開かれた。朝鮮は砲撃事件以後の国際情勢を冷静に判断し、「民族和解」のテーマを前面に打ち出すことで、対話外交の再開を模索する大国の動きを先取りした。

 その間、朝鮮が積極的な対話攻勢を展開した背景には、危機回避のための多国間外交がある。平壌、北京、ワシントンとソウルでは「戦争と平和」のテーマをめぐる打算と駆け引き、利害の調整が行われた模様だ。58年前、停戦協定を結んだ当事国である中国と米国が今回の首脳会談で朝鮮半島問題を主要議題として取り上げ、北と南が国際社会の注目の中、軍事的懸案問題解決のための会談を行うことになったのは偶然の一致ではないだろう。

 延坪島砲撃事件で朝鮮人民軍の断固たる国防意志を目の当たりにした米国は、自国の利益のために朝鮮半島に軍事的緊張をもたらし、北南の軍事的対立を煽ることで漁夫の利を得るという強硬路線を続けるのが難しくなった。

 朝鮮中央通信(22日発)はワシントンで中米首脳会談が行われた事実を伝えながら、共同声明の内容として2点を指摘した。中米が「朝鮮半島の緊張緩和と北南改善の重要性を強調し、北南対話を求めた」ということと、「朝鮮半島非核化に関する9.19共同声明を履行するために6者会談を早急に開催することを主張」したということだ。この報道内容は、朝鮮側の関心事を示すものだ。

 朝鮮は、オバマ政権発足後、朝米関係の全過程を総括し、「明確な結論」に達したと伝えられている。半世紀以上続く米国との交戦関係に終止符を打ってこそ、朝鮮半島非核化などの懸案問題をスムーズに解決できるということだ。

 中米首脳が、その履行を主張した9.19共同声明(05年に6者会談で採択)にも、「直接的な当事国」が適切な別途の枠組みをつくり、「朝鮮半島の恒久的な平和体制を樹立するための交渉」をスタートさせるとの項目がある。

首脳部の構想と意志

 中国の影響力拡大と朝中友好協力関係の強化発展などアジアと世界の勢力図画が刻々と塗り替えられる中、朝鮮半島西部海域で砲撃戦が勃発した。南の軍事挑発に端を発した事件を機に、「分断の元凶」である米国も、朝鮮半島と地域の平和、安定について言及せざるをえなくなった。

 一方、朝鮮は現在の状況を民族の団結を実現し、統一の道筋をつけるチャンスとして捉えているようだ。

 南側に対話を提議した政府、政党、団体連合声明には「われわれと手を結ぼうとする者であれば、過去不問で会う用意がある」としている。これまで北との対話を避け、民族対決の路線を追求してきた現在の南朝鮮当局を念頭に置いたものであろう。対南政策の立案と展開において、目先の利害にとらわれた近視眼的アプローチはなされていない。「戦争と平和」が緊要の外交課題として浮上する中、朝鮮は長期的な視野に立ち、対話と民族和合のロードマップを描いているようだ。

 2011年元旦に発表された3紙共同社説は、今年から始まる新たな10年代が「民族分裂の悲劇にピリオドを打つ希望の年代」「統一と繁栄の年代」になるだろうと展望した。そのフレーズは南に対話を呼びかけた連合声明にもある。首脳部の構想と意志を集約した表現であることは間違いない。

 朝米関係の全過程を総括し、一つの結論に達した朝鮮は、2010年代最初の年に政府、政党、団体が「統一と繁栄の新たな局面を開くための重大問題を討議」(連合声明)し、その結果として幅広い民族対話を呼びかけた。中米関係の推移など国際情勢を睨みつつ、変化のイニシアチブを発揮するために決断し、行動を起こしている。2カ月前には砲撃戦の当事者であった軍部も南側に民族対話を提案し、北南関係改善の新たな年代記をつくるプロセスに合流することになった。

 「強盛大国の大門を開く」と宣言した2012年は1年後に迫っている。朝鮮は政府・政党と軍部が民族繁栄の目標設定で一致し、積極的な対話攻勢と全方位外交で、朝鮮半島の平和と統一の突破口をを切り開こうとしている。(金志永)

[朝鮮新報 2011.1.26]