平壌に「新時代の風」 経済復興で着実な前進 |
ファッション、外食、携帯電話…
「強盛大国の大門を開く」2012年に向けて躍進する朝鮮。昨年来、人民生活の向上にとりわけ力を注いできた。経済状況の変化とともに、人々の生活環境も様変わりしている。 首都・平壌では、人々の表情は明るく、余暇を楽しむ日常生活の光景が広がっていた。 たとえば、玉流館に新設された専門食堂や香満楼大衆食堂など、市内の飲食店は連日盛況だ。近年リニューアルオープンした店舗も少なくない。家族や友人たちと会話を弾ませながら食事を楽しむ姿を見ることができる。 昼の開店前から、店外には長い行列ができている。家族連れや年配者、大学の友人同士など、客層もさまざまだ。建物は新しく現代的で、メニューには朝鮮料理だけでなく外国料理も並び、客の評価も高い。とくに、玉流館の専門食堂では、チョウザメなどを使った高級料理を提供するほか、各国の料理を新たに開発し、全国各地の飲食店に普及させる役割も担っている。
加工食品の生産量も増え、消費を刺激している。
CNC技術が導入された船興食料工場や平壌小麦粉加工工場をはじめ、多くの食料工場が現代化され、生産能力を向上させた。工場で生産された製品は、市内の各商店に途切れることなく配送されている。船興商店の販売員は、「客足は絶えることがない」と話す。 携帯電話の普及率もスピーディーに拡大している。 街中で携帯電話を片手に通話やメールをしている市民の姿は今や珍しくない。携帯電話事業を展開している逓オ合弁会社によると、現在、加入者は45万人を超え(昨年5月は15万人)、今も新規契約者が急激に増えているという。 若い女性たちのファッションも様変わりした。 髪型、服、靴、アクセサリーなど、頭の先から足の先まで国内のトレンドを取り入れ、さまざまなコーディネートを施していた。色づかいやデザインも多様で、おしゃれな若者が多い。 現在平壌では、万寿台通りのアパート(09年)、芸術家の家族専用のアパート(10年)に続き、3つのエリアで10万世帯の住宅の建設が急ピッチで進められている。完工目標は、2012年だ。 このような生活環境の変化を肌で感じながら、朝鮮の人々は強盛大国の明るいビジョンを持ち、自信に満ちあふれている。 ■
生活環境が変化した背景には、朝鮮の経済復興路線の着実な前進がある。国内の資源、技術に基づく生産システムの確立において大きな成果があった。 人々の会話でも、「チュチェ鉄」「チュチェ肥料」「チュチェ繊維」という言葉が話題になっている。 昨年、2.8ビナロン連合企業所(咸鏡南道)が16年ぶりに生産を再開させた。国内に豊富な石灰石、無煙炭で高品質のビナロン綿を生産している。繊維生産により、衣料部門の発展を後押ししているだけでなく、生産過程に作られる420余種の化学製品は、軽工業、食料、製薬など幅広い分野で利用されている。 南興青年化学連合企業所(平安南道)では、昨年4月に無煙炭のガス化による化学肥料生産を開始した。肥料の年間生産量は60万d。1`cの肥料で10`cの穀物を生産できると計算した場合、この企業所だけで年間600万dの穀物生産に必要な肥料を提供できることになる。 チュチェ肥料生産の実現は、食糧問題を解決するうえでの礎となった。これに合わせ、現在、興南肥料連合企業所(咸鏡南道)に建設中の褐炭ガス化工程が稼動すれば、2012年には化学肥料の国内需要を基本的に満たすことになるという。 また、千里馬製鋼連合企業所(平安南道)、金策製鉄連合企業所(咸鏡北道)をはじめとする国内の製鉄工場では、外国から輸入せざるをえないコークスを使わずに、国内の原料と燃料でチュチェ鉄や鉄鋼材を生産している。 このように、外国に頼らず、国内の原料と技術で生産される製品が増えている。 ■ 朝鮮中央通信によると、今年から「国家経済開発10カ年戦略計画」がスタートする。内閣に国家経済開発総局が設立された。インフラ建設と農業、電力、石炭、燃油、金属などの基礎工業、地域開発を中心に、国家経済発展の目標が確定されたという。「計画」が遂行されれば、2020年には、朝鮮は「東北アジアと国際経済関係で戦略的地位を占める」ことになる。 最近、朝鮮では、「自分の地に足をつけ、目は世界を見よ」というフレーズがよく使われている。経済の分野でもそれが実践されている。(文・姜裕香、写真・文光善) [朝鮮新報 2011.1.19] |