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〈教室で〉 九州中高 英語担当 李昌導教員

多角的な視野、発信する力育てたい

 「Good morining, class.」「Good morning, Mr.Kim.」「How are you, today?」「I'm fine thank you, and you?」

 5時間目の始まりの鐘が鳴り終わると共に、教室いっぱいに響き渡る声。

 「今日の天気はどうですか?」「昨日は帰って何をしましたか?」など、英語で質問を投げかけると元気よく声を張り上げて答える、中級部1年生たち。

 一生懸命英語で答えようとする生徒たちの気迫に、思わず李昌導教員の顔もほころぶ。

発表と評価

生徒からの質問に親身に答える李教員

 3学期最後の授業。翌日から試験が始まるということで、この日は普段とは少し違った、グループ別に会話文を読んで発表する授業内容となった。

 教科書に載っている題材の会話文を憶え、1グループずつ前に出て発表する形式。今回のポイントは、ただ発表するのではなく他の人の発表を聞いてそれを「評価する」というものだった。

 評価の基準は、@誰もが聞きやすい大きな声ではっきりと話せたか、A発音が正確だったか、B内容をしっかり把握し、登場人物になりきってうまく感情を表現できたか。それらを審査表に5段階で評価し、そこに感想も添える。

 発表の前にまずは読む練習。李教員が一度全文を読み手本を見せた。次に1文ずつRead and look up(教科書から目を離し、前を見ながら憶えた英文を音読すること)で少しずつ憶える練習をする。このときも「『v』の発音に気をつけましょう」と細かい指導を怠らない李教員。

 4人一組になって、自分の配役を覚えその人物になれるよう練習をしたら、いざ発表の時間。

 さっきまで大声ではしゃいでいた生徒たちの少し恥ずかしげな様子が見えたが、みな一生懸命発表に挑み、ベストを尽くした。

 李教員も、「よくがんばった」と生徒たちをほめ、文章を読むリズムや難しい子音の発音にも意識を集中し、登場人物になりきって表現したことを評価した。また、最後まで文章をしっかりと読み、間違った読み方をしないよう単語一つ一つを正確に覚えるよう強調した。

 最後に、ただ単に憶えるのではなく、自分が何を学んだのかをしっかりと把握して1年間がんばった成果を試験で発揮しようと励ましながら、一年間の最後の授業が終了した。

学習意欲向上に向け

 中1、2の英語と女子の体育、高2の日本語も受け持つ李教員は、週に1度ある初級部5、6年生を対象にしたチャンダン授業も担当している。

 高級部の頃から朝大4年まで7年間チャンゴを叩いてきた。朝大2年から夏休み中に、地元の九州中高で専任教員のいないチャンゴ部の指導をしはじめた頃から、指導者の存在の必要性を感じたという。その後、祖国訪問、教育実習などあらゆる経験を通じ、生徒たちの民族の心を養っていきたいという思いから、教員への道を選択した。

 授業では、普段から生徒たちの発表の場を多く設けることに気を遣っている。時間はかかるが、何がだめだったのか、どうすればよくなるのかを一緒に考え、うまくできたら一人ひとりきちんと評価する。そうすることで生徒たちの英語学習へのモチベーションが少しずつあがっていったそうだ。

 特に中1では、授業で習った知識を普段の生活の中で活用し、話せる喜びを感じられるような授業を心がけている。

 また、近年、英語の基礎能力を高めるための「ノートの整理法」についての研究も進めてきた。あらゆる参考書を調べ、教科書の内容、習った文法を確認し、例文、例題も添え、ノートを見ればその章で習う内容をほとんど理解できる「自分の参考書」研究に情熱を注いでいる。

 結果、5、6年の間に生徒たちの実力は確実に上がり、英検準2、2級合格者が続出しているという。学習の基本は知識の整理。それが確実な理解へとつながっていく。

 「英語学習を通じて多文化に触れ、自分の存在を他の角度から見つめることができる。朝鮮人としての軸をしっかり持ちながら、自分たちの存在を堂々と主張し、発信できる人材を育てていきたい」(尹梨奈)

[朝鮮新報 2011.5.6]