〈高校無償化〉 神戸朝高3年生がビラ配り、「胸張って卒業したい」 |
神戸朝鮮高級学校の3年生たちが3日朝、垂水、新長田、三宮駅前で、朝鮮学校への「高校無償化」即時適用を訴えた。生徒らは6日に卒業式を迎える多忙な時期にもかかわらず、民族教育の正当性を日本政府に認めさせ、「朝鮮学校で学んだことに誇りを持ち、胸を張って卒業したい」との思いから街頭に繰り出した。地域の活動家らも応援に駆け付けた。1時間あまりで2300枚のビラが配られた。
卒業目前の訴え
気温が5度を下回る寒空の下、生徒らは「高校無償化」適用を求める横断幕を掲げ、スピーカーを片手に、差別が続く現状への憤りと悲痛な想いを語った。 朝鮮大学校に進学する金星玉さんは「卒業式が迫る現在も適用が認められず、1年間たたかってきたことが結局は認められていないようで悲しい。『無償化』問題を通じて、日本社会に差別が根強く残っていることを感じた。そんな不当な差別から同胞を守ることができれば」と話した。 県内の大学に進学する李幸嗣さんは「まさか卒業まで引き延ばされるとは思わなかった」としながらも、「1年を通して3年生の意識が高まった。後輩たちのために、適用されるまでできる限りのことをしたい」と述べた。 数日後に大学入試を控えた文栄里さんも駆け付けた。「まだまだ民族教育に対する偏見があり、今日になってもこうして街頭に立たざるを得ないことが悲しい。これはただのお金の問題ではなく、私たちの誇りの問題だ。私たちが日本で日本人と共に生きていくために学んでいることを、一人でも多くの人に伝えたい」と述べた。
日本市民の応援受け
朝の通勤時間の三宮駅前、人々が忙しく行き交うなかでも、多くの市民が生徒らの訴えに耳を傾けビラを受け取っていた。なかには、風でひっくり返りそうになる横断幕を広げるのに手を貸す日本人の姿や、自らビラをもらいに行く人、通り際に「がんばれ!」と声をかける人の姿もあった。 受け取ったビラを見つめていた30代男性は、朝鮮学校だけが除外されている現状について、「どう考えても不公平だ」と話した。「教育の現場では差別があってはならない。政治家の意見ひとつで定められる問題ではない」と語った。 この1年間、朝青朝高委員会委員長として街頭や集会でスピーチする機会があったという周悠植さんは「同胞のみならず多くの日本市民が関心を寄せ、私たちを応援してくれていることを知った。一生懸命働いて朝鮮学校へ送ってくれた両親や、声援を送ってくれる日本の人々を思えば、いち早く適用を実現させなければと感じた」と語った。 [朝鮮新報 2011.3.4] |