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高校無償化 2.26大集会 集会、デモに324の賛同団体


4倍以上に膨らんだ声

 昨年3月末、今回と同じ場所で行われた集会には、69の市民団体が賛同し約千人が集ったが、その数は回を重ねるごとに膨れ上がり、この日の集会には324の団体が賛同、実に4倍以上に膨れ上がった。

 昨年2月、4月からの実施を目指し国会で審議されていたが、中井拉致担当相(当時)が「朝鮮学校排除」を川端文科相(当時)に要請、右派メディアは偏向報道を執拗に行った。その結果、朝鮮学校への適用を「保留」する形で、「無償化」はスタートした。

 朝鮮学校生徒、保護者、関係者、そして広範な日本市民たちは、一日も早い朝鮮学校への適用を求め、連日、民主党や文科省などへ要請を行い、日本各地で署名活動も繰り広げられた。6月末、芝公園(港区)では142団体の約1200が参加して集会が開催された。

 それまで議論を重ねてきた文科省の「検討委員会」から「適用は妥当」との結論が出されたのは8月末。しかし政府は判断を先延ばしし続けた。

 9月末には、3回目の大集会が社会文化会館(永田町)で行われ、267団体約1700人が集まり怒りの声を挙げた。

 11月5日に、文科相がようやく朝鮮学校への適用の審査基準を「正式決定」。基準には、朝鮮学校の教育内容を問わないこと、外交上の配慮を適用の判断材料に含めないことが表明されていたが、同月24日に朝鮮半島で砲撃戦が起きると、菅首相は適用に向けた手続きを一方的に「一時停止」すると発表した。

 朝鮮学校側は、2011年1月下旬に行政不服審査法に基づく異議申し立てを行ったが、高木文科相は2月4日、「当面は手続きを再開しない」と回答。再開の条件として、「北朝鮮が韓国との関係で緊張緩和の姿勢を明らかにすること」をあげた。

 この間、多くの市民団体が朝鮮学校への「無償化」適用を求め、地道な運動を展開してきた。9月の集会にも参加したという「コンサート自由な風の歌」の池田幹子さん(62)は、元公立高校の教員だ。「私の現役当時も、毎年のように授業料の未納家庭があった。『無償化』が実施され、この胸の痛む問題が解決されたと喜んでいたが、同じ境遇で学ぶ朝鮮学校の生徒たちだけが、なぜ排除されなければならないのか」。

 池田さんは、この問題の根本問題には日本の歴史認識があると指摘する。「アジアの国々を植民地にして戦争へと突き進んだ過去をしっかりと反省してこなかったことが、この問題につながっている」。

 拉致問題を口実にした「反北朝鮮キャンペーン」が展開される中、日本では朝鮮人に対する嫌がらせが頻発した。そのことがきっかけとなり、在日朝鮮人の問題に関心を持ったと話す「チマ・チョゴリ友の会」の及川晋さん(27)は、子どもたちの教育問題を政治利用している政治家たちが許せないと語る。「われわれが正しいことをしっかりと主張することが大切だ。同世代の友だちには、この問題を知らない人も多い。そもそもなぜ朝鮮人が日本にいるのかを理解していない人もいる。日本の中で差別をなくすためにも、声を挙げることが必要だ」

[朝鮮新報 2011.3.2]