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人種差別撤廃委の勧告を実現させる集会 朝高生が「無償化」アピール

権利獲得し、学校守る

朝高生が演壇にあがり、「無償化」問題をアピールした。

 19日、東京・永田町の星陵会館で300余人参加のもと行なわれた「国連人種差別撤廃委員会の勧告を実現!先住民族アイヌの権利回復・審議会の設置を!『在日』・沖縄・あらゆる差別撤廃!」(主催=国連人種差別撤廃委員会の勧告を実現!実行委員会)集会で、朝高生が「無償化」問題についてアピールした。

 国際人権諸条約などの対日勧告には、「在日」に対する諸問題が示されている。昨年3月、9年ぶり2度目(2001年以来)となる、国連人種差別撤廃委員会の対日審査の総括所見にも、在日朝鮮人に対する暴力や「高校無償化」の朝鮮学校排除問題などが言及された。

大集会突破口に

集会後、デモ行進が行なわれた。

 「高校無償化」問題について発言した東京朝鮮中高級学校の康麻梨さん(高2)は、「無償化」制度から朝鮮学校が除外され、生徒たち、とりわけ高級部3年生たちがビラ配りや街頭宣伝、デモ行進などに積極的に参加してきたことに触れながら、先輩たちの努力が報われず、そのまま卒業式を迎えようとしていることが悔しいと訴えた。また、かつて朝鮮学校は、父母たちが学生の頃に、JR定期券差別撤廃問題や大学受験資格問題、高体連加盟・インターハイ出場資格の問題などが生じ、その度に生徒たちが権利獲得のために声をあげ、たたかい勝ち取ってきたといい、今度は私たちが後輩のために権利を獲得し、学校を守る番だと力説した。

 康さんは、今まで、支えてくれた日本の人々に謝意を述べながら、「先代たちが汗と涙で守ってきた、この朝鮮学校で、民族教育を受けれることに誇りを持っている。『無償化』が適用されるまで、決してあきらめない。これから生まれてくる子孫たちが思う存分学校で学べるように、『無償化』の権利を勝ち取りたい」と語った。

 これに先立ち、「高校無償化」の朝鮮学校排除を許さない!全国集会実行委員会の長谷川和男さんが発言した。36年間、朝鮮学校と交流をしてきた長谷川さんは、「無償化」問題をめぐる1年間の経緯、3回に渡り行なわれた大規模な集会とデモ行進について述べた。26日には、代々木公園で4回目の大集会が行なわれる。賛同団体は、300を超える見通しだ。「(朝鮮高級学校の)卒業式に、日本の民主主義、人権感覚はまともだったんだというメッセージが届けられるよう、大集会を一つの突破口としたい」。

撤廃委勧告の実現へ

 昨年3月に出された人種差別撤廃委の総括所見には、▼コリアンスクールに通う生徒を含むグループに対する不適切で下品な言動、及びインターネット上での、とくに部落民に対して向けられた有害で人種主義的な表現や攻撃と言う事象が継続的に起きていること▼「高校無償化」法案において、朝鮮学校を除外することを示唆する複数の政治家の姿勢などに懸念を示し、改善を勧告した。

 同所見には、有識者懇談会や各種協議の場への▼アイヌ民族の代表の参加を増大させ▼協議の結果を、アイヌの権利に明確に焦点を当てた行動計画やプログラムに結実▼先住民族の権利に関する国連宣言など国際的な公約を吟味し実施することを目的とする3つ目の作業部会の設置を検討すること、「沖縄の軍事基地の不釣合いな集中」などの差別問題も対象となっている。日本政府のアイヌ政策推進会議の(アイヌ政策見直しの)作業報告が、3月にも出る。しかし、その内容は、先住民族アイヌに対する植民地支配の歴史的責任を否定した上で、「先住民族の権利に関する国連宣言」に基づく権利回復は切り離されている状況である。

 集会の1部では、旭川アイヌ協議会の川村シンリツ・エオリパック・アイヌ会長をはじめ、先住民族アイヌの人々が発言し、アイヌ・ラマット実行委員会共同代表の出原昌志さんが同会の位置づけ、この間の経緯について報告をした。

 また、在日の慰安婦裁判を支える会の梁澄子さん、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック顧問の上原成信さんらがそれぞれの角度から、連帯のメッセージを送った。一方、社民党の福島みずほ党首からもメッセージが寄せられた。

 2部では、アイヌと朝鮮の歌舞が披露された。

 集会後、日比谷公園まで、参加者らによるデモ行進が行なわれた。(姜裕香)

[朝鮮新報 2011.2.22]