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「高校無償化」 院内集会 年度内適用、必ず実現を

集会では、朝高生と保護者をはじめ多くの同胞、日本市民と国会議員が発言した

 年度末が迫る現在にいたっても、朝鮮学校への「無償化」が実現されていないなか、「高校無償化の朝鮮学校への即時適用を求める院内集会」が9日、東京・永田町の参議院議員会館で行われた。主催したのは、「フォーラム平和・人権・環境」「日朝学術交流協会」「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」。7回目となる同集会には、国会議員をはじめとする日本市民ら、朝鮮学校生徒と保護者、同胞、関係者ら120余人が参加した。参加者らは、昨年の延坪島砲撃事件を理由に、朝鮮学校への「無償化」申請手続きが停止されている問題など、政府方針の不当性をあらためて指摘しながら「無償化」制度の即時適用を求め発言した。

 集会ではまず、主催団体代表らがそれぞれ報告を行った。

 「フォーラム平和・人権・環境」の藤本泰成事務局長は、東京朝鮮学園が1月17日に行った手続き再開を要求する異議申立てに対し、文科省が4日の返答文において「北朝鮮による砲撃が、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうもの」であり、「不測の事態に備え万全の体制を整えていく必要がある」と手続き停止の意思をあらためて示したことについて触れ、「子どもたちのどこに、こうした政治、外交問題の責任があるのか」と憤りをあらわにした。

 集会では、朝高生や保護者、学校関係者と同胞、日本市民らがそれぞれ発言した。

 金正泰さん(東京朝高3年)は、昨年から1年間にかけ、無償化を勝ち取るための活動を行うなかで、多くの日本人支援者の存在を知ったと話しながら、「すべての朝高生のためにも、そして声援を送ってくれる日本の人々のためにも、『無償化』実現に向け最後までがんばりたい。今、僕らが受けているつらい差別の体験を、後輩たちには絶対にさせたくない。堂々と民族教育を受けさせてあげたい」と話した。

 一方、この日会場には「全国」高校ラグビー大会で、2年連続ベスト4に輝いた大阪朝鮮高級学校ラグビー部の権裕人さん(3年)と呉英吉監督も駆けつけ発言した。

 権さんは、高校最後の試合に出場できなかった自分のために親善試合(1月22日、関西学院大学グラウンド)を実現してくれた日本人各関係者へ謝意を述べながら、「僕は、ラグビーを通じて日本の友人らと友好を深めることができた。スポーツで朝・日の垣根を越えることが出来るなら、教育現場でも乗り超えられると思っている」と話した。

 また、東京中高オモニ会の朴史鈴会長(43)は、「現在、日本社会で活躍、貢献している在日朝鮮人は多くいるし、今後も自分たちもそうなりたいと願う生徒たちもたくさんいるのに、この子たちがどのような『不測の事態』を引き起こすというのか。与えられて当然の権利を奪われ、一番傷ついているのは子どもたち。この切実な思いが、より多くの人に届くよう今後も活動していく」と話した。

 集会ではまた、社民党の又市征治参院議員、服部良一衆院議員、民主党の相原久美子参院議員、那谷屋正義参院議員、今野東参院議員、稲見哲男衆院議員らが発言した。

 又市議員は、「長引く『無償化』問題が年度を超えてしまい裁判問題となれば、政府は国際的な恥をかくことになる。教育上の観点から客観的に判断するとしてきた文科大臣が、それとは逆行する政治的判断を下すことは深刻な問題。日本国内に根強く残る人権意識の希薄さや排外意識に立ち向かっていかなければならない」と述べた。

 那谷屋議員は、「またしても、このような集会が開かれねばならないことが遺憾」と話し、「本来、素晴らしい政策になるはずだった『高校無償化』が、現在はあらゆる批判を浴びている。制度の本来的意義を証明するためには、朝鮮学校への『無償化』適用が、年度内に実現されなくてはならない」と指摘した。

 年度末に差しかかる中、「無償化」制度の即時適用をもとめる声がいっそう高まっている。2月26日には、代々木公園野外ステージで、「朝鮮学校への『無償化』即時適用をもとめる大集会」(主催=「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」)とデモ行進が予定されている。

[朝鮮新報 2011.2.11