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「高校無償化」 文科省内で記者会見 朝鮮高級学校校長会など


「停止措置は外交的判断」

7日、文科省で行われた会見の様子

 文科省内で7日、東京朝鮮学園と全国朝鮮高級学校校長会による記者会見が行われた。会見では、同学園の金順彦理事長と関東の朝鮮高級学校校長、オモニ会役員と生徒らが発言し、朝鮮学校への「高校無償化」申請手続きの再開を訴えた。

 昨年11月23日に発生した延坪島砲撃事件を理由に、朝鮮学校の「高校無償化」適用申請手続きが停止されている問題で、東京朝鮮学園は1月17日、行政手続法に基づく審査再開を請求を行った。これに対し文科省は4日、適用申請手続き停止の意思をあらためて示した上で、「北朝鮮による砲撃事件」を受け「不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく必要がある」との理由を通知した。

 会見では、各代表による発言と、質疑応答が行われた。

 報告を行った金理事長は、「日本の人々を含む多くの人々の協力を得て、今日まで活動を行ってきたのに、世論を無視する形での停止措置は、不誠実」と指摘し、生徒、保護者ら朝鮮学校関係者らは、このような返答は受け入れられないし驚きと憤りを感じていると話した。金理事長はまた、「『高校無償化』は、子どもの学びは政治や外交と切り分けて社会全体で支えるべきという観点から、民主党政権が打ち出した政策。安全保障上の問題を理由に、手続き再開を拒否することは、外交的判断そのものだと思う。このような措置をとる理由も根拠も理解できない」と話した。

 会見では朝高生を代表し、曹舜太さん(神奈川朝高3年)と、呉香仙さん(東京朝高3年)が発言した。

 呉さんは、「これまで、授業や部活の時間を削り署名活動など続けてきただけに、こうした措置にあきれ返っている。高校無償化の問題が発生するまで、私は日本社会での差別を感じたことがなかったが、初めて確かに差別はあるのだと知った。同時に、私たちがこんなに日本の学生たちと処遇が違うのかと悲しく思っている。来月には卒業するが、未解決のままでは卒業したくないし、後輩たちに同じような悲しい思いをさせたくない。一刻も早く問題を解決してほしい」と訴えた。

 茨城朝鮮初中高級学校の崔寅泰校長は、「『校長会』では、これまで幾度も朝鮮学校が朝・日の平和実現をめざして教育をしていると主張してきたし、実際に朝鮮学校では、朝・日の親善、国交正常化、そして北南統一のための教育を一貫してきた。生徒らも、日々日本の友人らと交流を深め、平和を願うべく学業に努めてきた。そんな生徒たちにこのような処遇を何と説明すればいいのか、探す言葉もない。申請手続きの再開停止は、目指すところと逆方向に生徒たちの差別化を計るものだ」と話した。 (周)

[朝鮮新報 2011.2.8]