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「高校無償化」 文科省内で記者会見 「声を首相に届けほしい」


記者会見では生徒らが心情を訴えた

 年度末に差し掛かる現在においても、「高校無償化」の対象から朝鮮学校のみが除外されている問題で1日、文部科学省内で記者会見が開かれた。記者会見は、日本市民団体である「フォーラム平和・人権・環境」「日本朝鮮学術教育交流協会」「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」が主催したもので、各市民団体代表、朝鮮学校関係者と生徒らが発言した。

 文部科学省は昨年11月5日に「公立高等学校に関わる授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定に基づく指定に関する規定」(文科大臣決定)を定め、朝鮮学校も含めて外国人学校の適用申請に基づく審査を開始すると発表した。

 しかし、11月23日に発生した延坪島砲撃事件を理由に、菅直人首相は適用申請の手続き停止を表明。東京朝鮮学園は今年度の高級部3年生への適用を行うための事務的な期限が迫る中、1月17日に行政手続法に基づく請求を行い、その返答期限が2月6日とされている。

 記者会見の司会を務めた「日本朝鮮学術教育交流協会」の園部守事務局長は記者会見の趣旨を説明しながら、「私たちはこの問題を、日本における民族教育の権利の確立はもちろんのこと、わが国際社会の人権意識のあり方が問われる問題として捉え、政府が即刻適用の判断を行うことを求める」と話した。

 会見では東京朝鮮中高級学校高級部生徒を代表し、3年の高英載さん、康絢順さんが発言。高さんは「私たちはこの問題に1年を費やしてきたが解決されておらず、このまま後輩たちに引き継ぐのは申し訳ない。僕たちの声を首相に届けてほしい」と語った。

 康さんは「私は将来、朝鮮と日本の架け橋になりたいと思っているが、そう思えたのは朝鮮学校で学んだからだ。これから朝・日の架け橋になりたいと願う子どもたちの希望を奪わないでほしい」と訴えた。

 同校の愼吉雄校長(全国朝鮮高級学校校長会会長)は、「卒業を間近に控えた生徒たちの声を聞き、無償化適用を勝ち取ることができなかったことをふがいなく感じる」と涙ながらに話した。その上で、「朝鮮学校は統一された祖国、そして日本社会に貢献できる人材を育てている」と指摘しながら、朝鮮学校という理由で差別されることが「理不尽で許せない」と語った。

[朝鮮新報 2011.2.1]