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奈良で震災チャリティー公演、ウリハッキョ卒業生らが団結し


「祈りと希望、心ひとつに」

 東日本大震災チャリティーコンサート「祈りと希望、心ひとつに…−奈良朝鮮初中級学校卒業生とその仲間たち−」が8日に行われた。会場となった奈良朝鮮学園の講堂は、約220人の同胞、日本市民らであふれかえった。コンサートでは、同校卒業生とその知人らが震災の犠牲者に哀悼の念を捧げるとともに、復興への願い込めてソヘグム、カヤグム、チャンゴなど民族楽器を中心とした演奏を披露。同校の休校で沈んでいた奈良同胞社会に力を与える場にもなった。この日の収益はすべて義援金として被災地に送られる。

名門校の伝統、民族楽器奏で

奈良初中卒業生で構成されたヘグムアンサンブル「ケナリ」

 奈良初中は、全校生徒が民族楽器を演奏し学生芸術コンクールでも毎年のように受賞するなど、「民族楽器名門校」として名を馳せた。その卒業生、元教職員たちが今回、総連奈良県本部と各機関、団体で構成された実行委員会の呼びかけに応じ出演した。30、40代の地域同胞青年たちもチケット販売、会場設営、当日の運営などに奔走した。

 コンサートには、同校卒業生を中心に関西のヘグム愛好家が集うヘグムアンサンブル「ケナリ」、さまざまなコンクールで受賞し朝鮮学校での公演も行っている「MMM(Mama's Moment Musical)」、サムルノリをベースとしたチャンゴオーケストラ「SHIFA」、卒業生でピアノ奏者の朱祥延さんが出演した。特別ゲストとして詩人の河津聖恵さん、許玉汝さんも出演し詩を朗読。詩集の売り上げを義援金として主催者側に手渡した。

 客席からは演目が終わる度に大きな拍手が沸き起こった。ウリハッキョで民族楽器を習った卒業生たちが美しい民族の音色を奏でることに大満足の様子だった。

サムルノリを披露した「SHIFA」

 「ケナリ」は「아리랑」「비단짜는 처녀」などを披露した。全員が卒業生。教職員、同胞の「温かい愛情に包まれながら育てられた」感謝の気持ちを抱き、舞台に上がった。

 ヘグム独奏「섬집아기(子守歌)」などを披露した李美香さん(34)は、初級部4年生の時に母校に創設された民族楽器部でヘグムを習った。茨城朝鮮初中高級学校と母校で教員も務めた。それだけに今回のチャリティーコンサートにかける思いも強かった。

 「多くの卒業生、同胞たちが復興支援のために一つになり、コンサートを成功させた。母校が休校になって寂しい思いもあったが、目をキラキラと輝かせていたスタッフや同胞の力と絆を実感できてうれしい。奈良同胞社会が新しく生まれ変わるきっかけになれば」

 母校で音楽教員を務めた「MMM」の「眞珠さん(48)は「教え子やそのまた教え子が音楽を続けていて、みんなに会えたことがうれしい。奈良の同胞は、学校の清掃や子どもたちの通学支援など愛校活動を続けていると聞いた。これからも同胞が集まる場を大切にしてほしい」と語った。

奈良同胞社会に活気を

コンサート後の打ち上げは同胞の笑顔で賑わった

コンサートに携わった奈良初中の卒業生たち

 「東北の人たちを思うと胸が詰まるが、奈良で久々に同胞が大勢集まったことは素直にうれしい。復興支援に立ち上がった若者の姿を見て、奈良同胞の底力を感じた」

 コンサートを観覧した金春花さん(77)は、友人らと語らいながら同胞の率直な思いを代弁した。

 被災地を支援したいという熱い思いが若者を突き動かした。それは同時に、県に唯一のウリハッキョの休校で低迷した奈良同胞社会に活気を取り戻すための始まりでもあった。

 当日、会場には予想を超える多くの同胞、日本市民が駆けつけた。関係者は「数年ぶりに会う同胞もいた」「みんな笑顔でいっぱいだ」と口々に喜びを語り合った。

 再建準備が進められている県青商会のリーダー的存在の文春基さん(36)は「みんな呼びかけに応じて自発的に集まり動いてくれた。同胞は集まる場を求めている。それを生み出す若者もいて、力があることがわかった」と語った。

 総連本部の邵哲珍委員長は、関係者や集まった同胞に感謝しながら、「ウリハッキョを学び・憩い・交流の場にしたい。そして、アボジたちが頑張れる同胞社会、オモニたちが安心して子どもを育てられる同胞社会を築いていこう」と呼びかけた。(李泰鎬)

[朝鮮新報 2011.5.17]