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福島初中を訪れた朝大サッカー部 「共に勝利の喜びを」

子どもたちの笑顔から学んだこと

記念撮影の間も笑い声が絶えなかった

 4月28日、朝鮮大学校サッカー部の4年生部員たちが福島朝鮮初中級学校を訪ね、サッカー教室を開いた。

 現在、朝大サッカー部は関東リーグの初戦を控えている。今年の卒業生たちの強いリーダーシップにより、2010年度のリーグ戦では好成績を収めた。今年は昨年の成績を超える年にしようと、部員たちは猛練習の日々を送っている。

 しかし毎日、サッカーに明け暮れる部員たちの胸中にわだかまりがあった。被災地にいる同胞たちを思う気持ちが日増しに大きくなっていったという。

 姜尚彦さんは、春休みに自宅で過ごしているときも連日報道される被災地の様子を見ながら、厳しい環境の中でサッカーができないウリハッキョの子どもたちがいると思うと悲しい気持ちになったという。そして、「自分たちだけが楽しくサッカーをするのではなく、被災地の子どもたちのために何かできることがあるはず」と考え、チームメイトと話し合い、4年生部員で被災地へ向かうことにした。

 サッカー部では当初、応援メッセージを書いたり、募金運動を行うことを考えたという。しかし「被災した同胞社会の現実を直に見て感じることが大事だと考え直し、被災地を訪問することにした」と主将の馬舜さんは話す。

 サッカー教室は大好評だった。学生たちは、原発事故による放射能汚染の影響で運動場に出て力いっぱいボールを蹴ることのできない子どもたちが、思いきり楽しめるような練習メニューを考えた。

サッカーを楽しむ朝大生と福島初中の生徒たち

 「ルックアップ! 周りの味方を確認して!」

 「こっちに、パス出せるよ!」

 「次はツータッチでやってみよう」

 大学生たちの優しい指導に福島初中のサッカー部員たちもすぐに打ち解けて笑顔を見せた。

 李善哲さん(中3)は、地震が起きた瞬間に感じた恐怖を鮮明に記憶しているという。その後も余震が続き、放射能汚染の影響で大好きなサッカーも思う存分できない環境になった。朝大のサッカー部員たちとボールを追いかけている間は、李さんもつらいことや心配事を忘れているようだった。

 「みんなが楽しんでくれて、本当にうれしかった」

 朝大のサッカー部員たちも、福島初中の生徒たちと交流することで新たな目標を掲げることができたという。

 「同胞社会が復興のためにがんばっている今だからこそ、自分たちも役割を担わなければならないと思う」−馬主将は、今後も被災地の同胞たちに勇気と力を与えていきたいというというチームメイトの心情を代弁した。

 「同胞社会が僕たちの背中を押してくれているという心持ちでリーグ戦に臨みたい。勝利の喜びを被災地の同胞と分かち合えればうれしい。一緒にボールを蹴った福島の子どもたちが朝大サッカー部のモチベーションを高めてくれた」(文と写真・李炯辰)

[朝鮮新報 2011.5.11]