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福島初中で放射線講演 「正しく理解して対処する」

講演会の様子

 放射線専門家で長浜バイオ大学大学院バイオサイエンス研究科の蔡晃植教授が4月29日、福島朝鮮初中で放射線に関するセミナーを開いた。いま福島初中では学校の校舎や運動場、寄宿舎等いろんな場所で微量の放射線量が確認されている。学父母と教員たちが心配するのは、このような状況の中で生活する子どもたちの健康への影響だ。

 セミナーは、福島第1原発事故によって出る放射線と水素爆発により飛散した放射性物質が人々の生活の脅威となっている今の状況と関連し、放射能に対する正確な知識と対処法を知りたいという学父母と教員たちの願いから設けられた。

 蔡晃植教授は福島県で観測された放射線量が人体に及ぼす影響について、「人の健康に直ちに影響を及ぼす量ではない」とした。しかし同教授は、福島第1原発から55キロメートル離れた福島初中においても「直ちに健康被害が出る量ではないが、低レベルの放射線に被曝することにより、将来的にガンなどの発症率は必ず高くなる。ガンなどの発症率は放射線量に比例して増加することが明らかになっており、このレベルの放射線なら絶対に安全という放射線量は存在しない」と指摘した。

 また教授が一番恐れているのは、同原発の水素爆発により飛散した放射性物質が体内に入り「体内被曝」をすることだと話した。

講演会に参加する学父母たち

 「放射性物質が体内に侵入したら、放射性物質が継続的に体内に存在することになり、人体は体内から放射線に被曝することになる。これは体外から放射線を浴びるのに比べ、何倍も恐ろしいことになる。放射性物質の一つである『セシウム135』や『セシウム137』のような物質は土壌に吸着しやすく、校庭などでは比較的高い放射線を発生し続けることになる。この様な放射性物質を子どもが外で遊ぶことで誤って体内に入ると人体に影響が出やすい」と話しながら、生活していく上で憂慮される点をいくつかあげた。

 まず、子どもが外で遊んだ後は、なるべく服を着替える習慣をつけてシャワーで体に付着した放射性物質を落とす作業をする。また汚れた手を舐めないようにし外から帰ったら必ず手を洗う。また、校庭や公園などで遊ぶことで靴についた土や泥などもできるだけ家の外で落として入るようにすることや、風によって家の中に放射性物質が進入することを防ぐため風が強い日はできるだけ窓を閉めたり、部屋の掃除では拭き掃除を行うことを推奨した。このような事項に注意しながら、なるべく土壌や空気中に存在する放射性物質を口に入れないようにすることを心がけて生活する必要があると力説した。

 福島初中では放射性物質による影響を最大限に抑えるための対策を練ってきた。

 毎日午前中に放射線濃度を調べる測定器を使って運動場、校舎、寄宿舎、体育館などの場所で放射線量を測っている。そして放射線量を測定したあと、学父母に連絡をしているという。また学校では生徒たちに外に出るときはマスクを着用することを強調して、風が強いときは砂や埃の進入を防ぐため窓を閉めることを習慣化している。体育の授業やクラブ活動は体育館でするなどしている。

 幸いにもこれまで測ってきた放射線量の推移を見た結果、放射線量の減少が確認されている。学校では今回得られた放射線量の推移をデータ化して5月初旬に開かれる学父母会議で紹介する予定だ。(李炯辰)

[朝鮮新報 2011.5.9]