東日本大震災 国境を越え広がる助け合い |
近隣住民同士、力を合わせ 東日本大震災の被災地には、相互扶助、救援と協力の動きが広がっている。宮城でも国籍と民族、団体所属を問わず、力を合わせ困難を乗り越えようとする人たちの姿を見ることができた。
日本の避難所にも物資
「同じ地域の住民として、同じ被災者として互いに力を合わせて試練を乗り越えましょう」 総連緊急対策委員会宮城県本部の李英植委員長は、各地の避難所を訪れるたびに現地の関係者、被災住民たちに、このように呼びかけてきた。 この間、対策委メンバーたちは日本各地の同胞たちが送ってくれた救援物資を手に、県内の被害地域を回った。多賀城、石巻、女川、気仙沼など沿岸地域の被災地を訪れたメンバーたちは、現地の惨状を見て言葉を失った。 一行は同胞たちに救援物資を渡すだけでなく、多くの避難所を訪問し大変な生活を送る日本の住民たちにも救援の手を差しのべた。気仙沼では、海岸沿いの丘の上にある神社に設けられた避難所を偶然発見し、食料や医薬品などを届けた。 被災地域では、近隣住民の助けによって、襲い掛かってくる津波から九死に一生を得た同胞もいた。多賀城に住むある同胞は、家族を助けてくれた地域住民に感謝の意を込めて少量ではあるが、 炊き出しを行った。そのほかにも、日本人と食料を分け合あったり、互いに協力しながら必要な物資を買い求めるなど、地域単位で互いに助け合っている例が多い。
炊き出しの光景
「同胞、日本人関係なく被害をこうむった人たちに力を与えよう」 対策委のメンバーらの心情が集中的に表れたのは、地域住民たちのために行なった炊き出しだ。 20日、東北朝鮮初中級学校の近所にある八木山中学校で、同胞と近隣住民たちに向けた炊き出しが行われた。八木山中学校に、その場を設けたのも両校間で長い交流経験があったからだ。炊き出しが終わった直後には、東北初中宛に日本住民から感謝を伝える電話がかかってきた。また、東北放送がこの日、炊き出しを取材し、夕方に「国籍を越えた支援の輪」という趣旨で、小特集プログラムを放映するなど地域社会の反響も大きかった。 商工連合会と青商会中央の協力を得て結成された「焼肉塾」のメンバーたちも被災地に駆けつけ、23日には石巻市役所前の駐車場で炊き出しを行った。宮城県青商会の会員たちも手伝った。
感謝のあいさつ
「焼肉塾」が準備した肉がなくなり、炊き出しが終わろうとしていたときだった。「私たちも一緒に炊き出しをします」。 市役所前の駐車場に隣接する飲食店の関係者が、「焼肉塾」の活動に触発されたかのように、同じ場所で温かいおにぎりと豚汁を住民たちに提供し始めた。店の従業員たちが「これを食べて元気出してください」と声をかけながら住民たちに配った。 取材後、現場を去り仙台に向かう車の中で、記者は「ツイッター」上で炊き出しの「一報」を発信した。すると、石巻に住む日本市民と思われる発信者からツイートがあった。 70字の短い文章にはこのように書かれていた。 「今日は豪華な焼き肉ご飯の炊き出しをいただきました。とても美味しかったです。何日ぶりの肉だろう?在日朝鮮人の方々、本当にありがとうございました」(李相英) [朝鮮新報 2011.3.25] |