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幸福

 人はなにをもって安心を得るのだろうか。命の大切さを感じるのだろうか。そして、幸福を感じるのだろうか。ここ数日、あらためてそのことを考えた。

 現在、東日本大震災の衝撃は被災地ばかりでなく、それ以外の地域に住む人々にも影響を与えている。数日の間に各地のコンビニ棚の商品は激減。ガソリン、電力などの供給制限も始まった。

 14日、15日にかけて、被災地、茨城の水戸市、ひたちなか市などを現地取材した。対策委員会のある朝鮮学校には、同胞の安否を確認し、水や食料を届けようとあわただしく駆け回る活動家、子どもたちを何が何でも守ろうとする教員、そして彼らを頼り訪ねてくる同胞の姿があった。「非常事態」だからこそ、より生きてくる相互扶助の精神に感動を覚えた。

 一方で、もし活動家や教員が地震直後にいち早く他県へ避難していたら、一体どうなっていただろうか。地域同胞社会が大きな混乱に陥り、同胞らは心細い状態になっていたかもしれない。

 いまだ連絡のとれない沿岸に住む同胞を助け出すため、そこを目指す同胞がいる。そのような姿を見ながら、総聯組織のネットワークが同胞の安心や命、幸福を守っていると思った。1世が築き2世が守り、若い世代が享受するマインド、ネットワークの力があらゆるピンチを乗り切りチャンスを引き寄せる要素として、被災地で生きていた。

 今後の状況は予断を許さないが、「非常事態」にも絶えることのない、互いを思う同胞たちの気持ちを大切にしながら奮闘する現場の取材を続けていきたい。(東)

[朝鮮新報 2011.3.19]