東京大空襲66周年朝鮮人犠牲者追悼会の会場で |
犠牲者の悲しみ考える 「東京大空襲朝鮮人犠牲者を追悼する会」主催で5日、東京都慰霊堂で行われた東京大空襲66周年朝鮮人犠牲者追悼会。追悼会は06年から始まり、今年で6回目、同所では5回目となった。
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朝・日の市民らで構成される「追悼する会」では、「韓国併合」100年という節目となった昨年、「東京大空襲朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウム」を開催。東京大空襲は多くの人々を無差別に殺りくする都市型の空爆で許しがたい犯罪であると総括し、大空襲を引き起こした人々の歴史的責任を明らかにすることが、今日を生きる自分たちの責任であると誓い合った。とりわけ、朝鮮半島から日本へ強制連行され、尊い命を奪われた人々の悲しみについて深く考えた。 追悼会では、多くの日本市民が問題解決のための課題について訴えた。 東京都議会の馬場裕子議員はあいさつで、空襲があった3月10日は空襲の記録を残していく日として、国家間の争いごとを今後起こしてはならないと誓う日にすべきだと指摘。亡くなった自身の父母が大空襲のときに逃げ回り、現在の自分がいるとし、当時、理不尽にも命を奪われた人々の気持ちをしっかりと考え、二度と戦争が起きないような社会を築いていきたいと話した。
また、中野区議会の江口済三郎議員は、空襲で亡くなった非戦闘員の人たちの66年間の嘆きが聞こえてくると述べ、朝鮮人犠牲者に何の補償もしないばかりか、「無償化」問題など非人道的な差別を是正していくためにも、日朝友好を目指す活動をがんばっていきたいと述べた。
この日、東京朝鮮中高級学校中級部の3年生女子生徒が追悼歌を歌った。 金珠英さんは、日本人が参列者のなかに多く含まれていたことを目撃し、「『高校無償化』の問題もそうだけど、私たち同胞を応援してくれる日本の人たちがこんなにいて、正直驚いている」と語った。金さんはあらためて、過去を忘れてはならないと強く感じたと感慨深い表情で語った。 大空襲で亡くなった同胞のために、今自分ができることを精一杯やっていきたいと話していたのは康未希さん。康さんは、大空襲をはじめとする同胞たちの戦争被害を学校でしっかりと学び、朝鮮人として民族性を守り、堂々と生きていきたいと語った。 一方、「追悼する会」の西澤清代表は追悼会閉会のあいさつで、歴史の事実を明らかにして、近隣諸国を侵略、植民地化した責任を日本政府に認めさせるために、同じ思いを持つ日朝の市民が集会、運動を行ってきたと述べた。 そして、昨年の追悼会以降、文化財返還問題や「高校無償化」問題など問題が何一つ解決をしておらず、犠牲者の悲しみはより深まったと指摘。日本政府による過去清算、日朝の固い連帯、友好・平和関係の構築に向かって、事実を共有し、課題を一つずつ克服していこうと訴えた。(東) [朝鮮新報 2011.3.15] |