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シンボに聞こう!! 「人種差別撤廃条約」って何?

東京都在住 20代の同胞女性から質問です。

▼朝鮮学校襲撃事件、「高校無償化」問題などに関連し、「人種差別撤廃条約」という言葉を目にするが、そもそもどんな内容なのか。

 人種差別撤廃の重要性、差別撤廃への最低基準を示した国際人権条約。正式名称は「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」。

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▼締約国に課された義務は。

 @悪質な差別行為や差別団体を法律で禁止、A被害者に対する裁判所と国家機関による有効な救済、B劣悪な状況に置かれている人々への特別措置、C差別観念を取り除くための教育、宣伝、文化活動の奨励、D互いの独自性を尊重し共に連帯する取り組みの奨励―などの措置を求めている。日本は1995年、146番目に加入した。

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▼朝鮮学校差別について日本政府に改善が勧告されたと聞くが、具体的な内容は。

 日本政府は2001年に採択された最終所見に基づいて、条約の順守状況や勧告に対して講じた措置などをまとめた実質4回分の報告書を08年に提出。それを審査した最終所見が昨年3月に採択された。そのなかで委員会は、朝鮮学校生徒や在日朝鮮人に対する暴言やネット上での差別表現、一部の政治家が「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外するよう主張したこと、日本の教育における公的支援や補助金、税額控除に関連し、朝鮮人や中国人の子孫が通う学校が差別的に扱われていることなどに懸念を表明。「教育機会の提供において差別がない」状態を確保するよう勧告した。

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▼改善の見込みは。

 他の国際人権条約における対応にも共通して言えることだが、朝鮮学校を差別していない、外国人の子どもに対して必要な措置をとっているというのが日本政府のスタンス。差別問題への根本的な自覚に欠けているので改善の見込みは暗いと言わざるをえない。象徴的なのは、4条(a、 b)が悪質な差別行為や差別団体を法律で禁止するよう求めているのに対して、日本政府は「表現の自由」を盾に受け入れを留保していることだ。「正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない」(08年報告書)。

[朝鮮新報 2011.3.9]