京都青商会の思い込めた横断幕 将来、バトン受け継ぐ |
1月3日、大阪の近鉄花園ラグビー場に一つの横断幕が掲げられた。「이루자! 60만동포의 소원!(成し遂げよう! 60万同胞の願い!!)」。 ピッチ上では「全国」高校ラグビー大会の準々決勝、大阪朝高対流経大柏の激闘が続いていたが、後半途中から掲げられた横断幕にプレー中の大阪朝高フィフティーンも目を見張ったという。「(うれしさで)身震いした。自分たちはやはり多くのものを背負いながら戦っているんだとあらためて感じた」(金勇輝さん、3年)。 選手たちを鼓舞した横断幕を作成したのは、京都府青商会のメンバーだった。発起人の厳強さん(39、府青商会常任幹事)は、「京都朝鮮中高級学校にはラグビー部がないが、同じ朝高生たちが戦っている。いても立ってもいられない気持ちだった」と話す。
この試合には青商会を中心に京都の同胞たち約100人がバス2台に分乗し、会場に駆けつけた。中には日本学校の卒業生や普段、地域同胞社会に顔を出さない人たちもいた。朝高生たちのがんばりが、同胞社会の絆を新たに深めるきっかけを生んでくれた。試合後、朝鮮新報に掲載された前述の大阪朝高選手の言葉に、厳さんはうれしさをかみ締めたという。
厳さん自身、昨年7月に行われた京都府青商会総会まで活発に活動へ参加したわけではなかった。それでもやるからには一生懸命やろうと決意した。彼にとって、初めて自分で発案し実行したのが、この横断幕作成だったいう。のどをからしながら声援を送る京都の同胞たちの姿に、スポーツの持つ力をあらためて感じたという。 横断幕作成にはこぼれ話がある。印刷業を営む青商会OBに作成を依頼すると、その先輩は「自分はその日(3日)は行けないから、自分の分まで応援してくれ」と無料で請け負ってくれた。 「私たちの気持ちが彼らにどれだけ届いたのかはわからない。でも、彼らが大人になったとき、子どもを持つ親になったとき、あの時の記憶が何らかの影響を及ぼすかもしれない。将来、朝鮮学校を守り、同胞社会を担っていくのは君たちなんだよ、という思いが伝われば」。厳さんが横断幕に込めた思いだ。 [朝鮮新報 2011.2.9] |