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権利闘争の遺産

 尼崎朝鮮初中級学校付属幼稚園の保護者への補助金を廃止する方針を打ち出していた尼崎市(兵庫県)は、方針を撤回し、来年度以降も支給することを決めた。保護者や活動家らの運動が決め手だった。

 尼崎市が30年にわたって支給してきた補助金を突然廃止しようとした背景には、隣の大阪府が朝鮮学校の補助金執行を留保するなど、「拉致問題」や朝鮮半島情勢の悪化に乗じて朝鮮学校の排除を試みる動きがあったことは明らか。

 「幼稚園という入口を狭めて朝鮮学校を枯渇させようという狙いがある」

 市に対する同胞や日本市民の不信感は募るばかりだった。だが、保護者たちは、ただ怒りをぶつけるだけでなく、冷静で論理的な対応を心掛けた。

 同校の保護者や学区内の同胞、活動家らでつくる民族教育権利擁護阪神地区協議会では、尼崎市が朝鮮学校への補助金支給を決めた経緯や外国人政策について調べ、それとの矛盾を指摘した。

 決定的だったのは、尼崎市が2000年に策定した「人権教育・啓発推進基本計画」(昨年改訂)に、補助金支給の正当な理由が明記されていたことだ。

 「朝鮮学校では義務教育課程に相当する教育が行われている」「在住コリアンは納税義務を負った外国人市民である」

 協議会の関係者は今回の運動で得た経験についてこう語る。

 「先代が4・24教育闘争に始まり権利闘争の過程の中で築き残してくれた知恵や経験を生かせば、差別に十分立ち向かっていける。これはどの地域にも適用できるはず」(泰)

[朝鮮新報 2011.1.31]