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心に響く演奏

 秋も深まると芸術コンクールがやってくる。

 私もひょんなことから民族楽器指導に携わるようになって10数年が経つ。毎年のように子どもたちと接しながらいろんなドラマが繰り広げられ、泣いたり、笑ったり、喜んだり、悔しがったり…と忙しい。

 涙にもいろいろあり、昨日、子どもたちと共に流した涙は、やりきったという達成感からくるうれしい涙だった。数年前は思いもよらぬ結果に悔しさのあまり涙した。

 たった5〜6分の演奏だが、その短い時間の中には子どもたちの葛藤の日々が凝縮されている。また、応援してくれるたくさんの人たちの思いが詰まっている。だからこそ、頑張ってきたのだから、とても良い演奏ができたのだからと、それに見合う結果を望むのは当然のことだろう。

 しかし、最近、それよりもっと大切なことがあると切実に感じている。

 それは、昨年難しい曲に挑み、血の滲むような練習を経て、本舞台で心に響く素晴らしい演奏をしてくれた生徒たちから得たことだ。

 決してナルシストではないが、演奏後、感動のあまりみんなで泣いた。後でわかったことだが、舞台上で演奏しながらもうすでに泣いていたそうだ。びっくりした。

 自分たちがやってきたことを信じ、誇りを持って演奏できたからこそ感じることができる境地だと思う。だからこそ聴いている者の心にも響くのだろう。

 そんな自分の心にも、聴く者の心にも響く演奏を目指してほしいと思う。(趙弘子、教員)

[朝鮮新報 2010.11.19]