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「すんません」

 私のハンメ(祖母)は、昔からよく「すんません」と言う。うちで一緒に暮らし始めてからそれがとくに多くなったものだから、オモニも気をもんでいる。

 「朝起こすたび、ご飯作るたびに『すんません』って…何も悪いことしてるんじゃないし、一緒に住んでるんやから気を使わんでくださいって言うのに…」

 そんなオモニの言葉を思い出しながら、私はハンメと散歩に出かけた。久しぶりに実家に帰った私にハンメはいろんな話を聞かせてくれたのだが、とくに多いのはオモニについての話だった。

 「このシャツ、きれいやろ。オモニがプレゼントしてくれたんよ」「オモニと散歩行くときはねぇ、この階段を何度も一緒に昇り降りするんよ。足腰にいいからって言ってくれてね」

 一人で暮らしていた頃から一転し、ハンメはよくしゃべりよく歩くようになった。それを見てうれしく思いながら家に帰り、お茶を入れてあげるとハンメはまた「すんません」と言った。私はこの時初めてハンメの「すんません」が「ありがとう」の意味なのだとわかった。

 それでも納得のいかないオモニには悪いが、こう考えてみるとおもしろい。単身赴任の身で最近うちに帰るとすぐ夫婦喧嘩をするアボジは頑固で、オモニには滅多に「ごめん」と言わない。そんなアボジの代わりにハンメが感謝の意味も込めて「すんません」と言っているのだ。

 むろんこんな呑気なことを考えているのは私だけだが、私はとりあえず、これからハンメの「すんません」に「どういたしまして」と答えようと一人で心に決めた。(金賢雅、朝大研究院生)

[朝鮮新報 2010.9.10]