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「理想家族」

 「え? なんだって。理想家族?」

 久しぶりに親せき一同が会した、ハラボジの傘寿祝賀会。そこで私は、総勢14人もいる孫を代表しハラボジ、ハルモニにお祝いのあいさつをすることになった。

 親元を離れ、大学のある東京に暮らし始めて5年目。その間、大学の近くに暮らすハラボジ、ハルモニには両親以上にお世話になった。

 伝えたいことは山のようにあったが、サムチョン(叔父)やイモ(叔母)、そしてはるばる単身赴任先からかけつけたアボジ、実家から来たオモニを感動させたくて、少し凝ったメッセージを読んだ。

 「私をここまで育ててくれたハラボジ、ハルモニ、アボジ、オモニみんなに感謝します。私を含め子どもたち3人の大学進学とアボジの単身赴任によって、ウリ家庭はいわゆる『離散家族』ですが、ハラボジ、ハルモニがアボジ、オモニを誇りに思っているように、私もアボジ、オモニの誇りになれるよう…」

 この「離散家族」を、ウリマルの発音で「理想家族」と聞きちがえてしまったイモがさっそくつっこみを入れる。

 「そうか、理想家族ネ」

 でも、私の頭の中にはすでにそのイメージはできあがっている。

 ウリハッキョのため、学生たちのためなら転勤をいとわず、犠牲を惜しまない献身的なアボジ。そんなアボジを尊敬し、全身全霊で支え続け、子どもたちにもアボジの素晴らしさを教えてくれるオモニ。そんな2人に支えられた私の家族は「離散家族」ではなく、心の通う、まさに「理想家族」なのである。(金賢雅、朝大研究院生)

[朝鮮新報 2010.7.9]