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ウリハッキョがくれたもの

 私は高校までウリハッキョで学び、 それ以降はかれこれ20年間日本人の中で過ごしてきた。ウリハッキョ時代のトンム(友)たちとは今でも仲良しだが、何といっても今は子育て中。昔ほどひんぱんには会えていない。だけど、会ったら子どもの教育の話がもっぱら主流だ。

 私に子どもはいないが、オモニになったトンムたちから本名を名乗っているのか時折り聞かれる。みんな日本で子どもをどのように教育していこうか真剣に考えているし、私が保守的なイメージの国立大学に在籍しているせいだと思う。

 私はずっと本名を名乗ってきた。何といっても名字が崔なのでまず初対面は大変だ。何度も聞かれ、何度も答える。その後は「日本語とても上手ですね」と褒められてちょっと得した気分になる。もちろん、すぐに在日3世であると話す。すると「朝鮮語は話せるの?」とだいたい聞かれる。その時「はい」と答えられることは、私にとって本名を名乗る自信になっていた。これはひとえにウリハッキョのおかげだと思っている。

 ウリハッキョを通じて得たのは、ウリマルを話せることだけではない。何でも話せる親友と出会ったことの方が大きいかもしれない。日本の大切な友人もいるけれど、本名を名乗るかどうかなどの在日特有の問題を共有できる仲間がいることで、自分が強くなれていた。いつもそう感じていたら、先日結婚式で久しぶりに会ったトンムが、まったく同じことを言っていた。これもウリハッキョが私にくれた宝物だ。(崔賢姫、鹿児島在住・理学療法士)

[朝鮮新報 2010.7.2]