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恋人選びの基準

 先日、女性の先輩に恋人選びの基準を聞いてみたら、「自分と同じくらいの体格の人」という、意外な答えが返ってきた。理由がまたおもしろい。「ケンカになっても勝てるかもしれないから」というものである。そのときは「何なんですか、その基準〜!」などと笑ったのであるが、あながち冗談では流せない基準かもしれないと思うようになった。

 恋人同士の男女間で、男性側が腕力の強い場合、女性は当然腕力では相手に勝てない(逆もまたしかり、同性同士の場合も、である)。このような肉体的な力の差は、二人の間に何も問題がないときは良いだろうが、いざ争いごとがあった場合、たとえ男性が暴力をふるうような人でなくとも、腕力に訴える術を持たない女性は、はじめから不利な立場に立たされ、「もし殴られたりしたらどうしよう」という恐怖感につきまとわれることになる。性交渉の場合も同様だ。恋人や夫婦間で合意のもとに行う場合は良いが、たとえば女性が拒否の意を示した場合でも、男性は力ずくで容易に交渉を行うことはできるだろう。性交渉は、このように一瞬にして性暴力に取って代わりうるものだと思う。

 恋人や夫婦間であってもDV、性暴力は常に潜在的に存在しうる。このことを知らずに、もしくは知っていても訴えられず、たとえ訴えても相手にされない女性が現に日本中、いや世界中にいかに多いことか。このように考えてみると、冒頭の先輩の恋人選びの基準は、「背の高い人」などという基準よりももっと一般化されるべきなのかもしれない。(金優綺、団体職員)

[朝鮮新報 2010.4.9]