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巣立ちの季節に

 3月−巣立ちの季節だ。わが家も去年の今頃、娘が高校の卒業式を迎えた。

 部活で始まり部活で終わった3年間。毎日続く朝練、休日を楽しむ余裕さえない学校一色の高校生活だったけれど、娘の顔は一点の悔いも感じさせないほど晴れやかで誇らしげだった。

 進路を考える時期になっても部活漬けの日々は変わらず、四六時中、学校生活のことで頭がいっぱいの娘を見ていると、将来についてどこまで真剣に考えているのかと不安になり、最後の一年は母娘で何度もバトルを繰り返した。

 いろんな選択肢があることを知ってほしくても、こちらが提案することはことごとく拒否。「口を出しすぎない」「手をかけすぎない」を信条に子育てに臨んできたが、どこまでも「ゴーイングマイウェイ」を貫く娘の頑固さに、野放しにしすぎたかなと後悔の念も…。

 映画「アルマゲドン」を観て、身を挺して地球を守る主人公の姿にいたく感動していた娘。正義感が強く、これと思うと脇目もふらず突っ走るタイプだ。思いが先走りしすぎないかと心配はつきない。

 これから先もあっちにぶつかり、こっちにぶつかり、痛い思いをたくさんするだろう。結局、自分で痛い思いをするしかないのだと、最後はこちらが腹をくくるしかなかった。どんなに危なっかしくても、子どもを信じ、見守ることしか親にはできないのだと−。

 あれから一年。家を離れ、大学での寮生活を経験した娘が間もなく春休みで帰ってくる。少しは成長した姿が見られるだろうか。(鄭潤心、会社員)

[朝鮮新報 2010.3.12]