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「ジェンダー」への偏見に一言

 「ジェンダー」。この言葉に一部の人があまり良くないイメージ−たとえば「女性差別について口うるさい男嫌いの女性」のような−偏見と誤解を抱いているのではないだろうか。かくいう私も大学院に入るまではジェンダーのジの字も知らなかった。しかし大学院修了を目前に控えながらしみじみ思うのは、ジェンダーの視点というものは、「性」を通して自身の「生」を考える、このうえなく重要な視点であるということである。

 ジェンダーというと、とかく「女性問題」と一括りにされて片付けられがちだ。男女間には権力関係が確かに存在し、女性は弱者の側なのでそう捉えられても仕方のないことなのかもしれない。だが、ことはそう単純ではない。「性」にもとづいて決められる規範や関係性の問題はすべて「ジェンダーの問題」であり、だからこそいまだに顕著な女性差別の問題が前景化するのであろう。しかし、たとえば日本では中年男性の自殺率の高さが社会問題と見なされて久しいが、これもジェンダーの視点からみれば「男性だから一家の主として家庭を支えるために稼がなければならない」という、性別にもとづいた社会的な規範に男性たちが苦しめられたがゆえに起こる問題である。このような男性の問題ももちろん、重要な「ジェンダーの問題」のひとつなのである。

 さて、「ジェンダー」という言葉に目を惹かれてここまで読んでくれたそこのあなた、これからは「ジェンダー」に対する無知を取っ払って、あなたの周りの「ジェンダーの問題」を探してみませんか?(金優綺、朝大研究院生)

[朝鮮新報 2010.2.26]