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無償の愛

 私には一歳半になる息子がいる。実家を遠く離れての子育てではあるが、息子のいちじるしい成長のおかげで、不安や心配もよそにバタバタと日々を過ごしている。息子の成長を見守るなか、育ててくれた両親の思いをあらためて感じるようになった。

 みんな育児について特別に習うことなどないまま、ある日突然親になる。だから子育ての軸となるのは「自分がどう育てられたか」という自身の体験と記憶に委ねられている気がする。母親になってから幼い頃のことをよく思い出すようになった。

 子ども時代、両親は共働きで忙しく、おそらく子育てどころではなかったと思う。とくに父は運動会や授業参観などの学校行事にはほとんど顔を出したことがなかった。でも私は一度も寂しいと思ったことはない。なぜなら両親の愛はしっかり私に届いていたからだ。父は家族のため懸命に働き、母はときに厳しく、ときに優しく私のすべてを受け止めてくれた。両親の手放しの愛情のおかげで私はとても幸福な子ども時代を過ごすことができたし、こんな父と母を誇りに思う。そして今、感謝の言葉を贈りたい。育ててくれてありがとう、たくさんの愛をありがとうと。

 私の人生も息子が生まれ大きく変わった。こんなにも満ち足りて、充実した毎日は、息子がいなかったら味わえていなかったであろう。今はまだ小さな蕾である息子に、私も愛情という水をたくさん与えよう。そして親からもらう無償の愛を糧に、立派な花を咲かせると信じ、息子の成長を見守っていきたい。(李順華、主婦)

[朝鮮新報 2010.2.19]