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スタート

 「終わりよければすべてよし」という言葉がある。私はあまりこの言葉が好きではない。なぜかというと、物事のはじまりやプロセスが軽視されている感じがするからだ。はじまりがあるからこそ終わりがあるのであって、良いも悪いもどんなスタートをきるかによって大きく左右されるのではないかと私は思う。

 日々の暮らしも同じこと。一日にもはじまりがあって終わりがある。一日を振り返り、「今日は素晴らしい日だった」と思えるのは、どんな朝を迎えるかで変わってくる。たとえば、寝坊した日はそれだけで一日のリズムがくるってしまうし、二日酔いの朝を迎えると一日中スッキリしない。逆にすがすがしい朝を迎えると、気持ちが晴れやかになり、太陽の光とともにパワーがみなぎってくる。

 気持ちの良い朝を迎えるために、私は2つのことを心がけている。ひとつはキチンと朝食を作ること。もうひとつは靴を磨くこと。主婦であれば当たり前のことだが、ともすれば怠けたり手を抜くこともできる。でもその単純で誰でもできることにどれだけ心をこめるかがポイントなのだ。家族そろって楽しい朝食タイムを過ごすため真心こめて料理する。よちよち歩く息子の姿を思い浮かべ、靴に「大きな事故から守ってね」と話かけながら磨く。それだけで一日のはじまりが特別なものになり、毎日を丁寧に生きているような気になるのだ。

 新しい一年がはじまった。寝坊していないか。二日酔いを持ち越していないか。丁寧な毎日を積み重ねて素晴らしい一年になるように。さあ、自分なりのスタートを切ろう。(李順華、神奈川県在住、主婦)

[朝鮮新報 2010.1.22]