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沖縄戦−「軍隊は住民を守らぬ」

 犠牲者約20万人といわれる沖縄戦。太平洋戦争末期の1945年、沖縄諸島に上陸した米軍と日本軍との間で行われた戦いである。約3カ月続いた戦闘の終了は同年6月23日。今年は65年になる。

 「地上戦によって一般住民9万4千人以上が犠牲になった沖縄は、戦争の怖さを知っている。この悲惨な体験から『軍隊は住民を守らない』と思っている。日本本土の人にはそれがわからない」。これは、以前本紙記者のインタビューに答えた大田秀昌・元沖縄県知事(85)の言葉だ。

 沖縄師範在学中に沖縄戦を学徒兵「鉄血勤皇隊」として体験。学生時代、戦前の教育をたたき込まれた大田さんは「太平洋戦争はアジアを植民地から解放する聖戦」と信じ、「忠良の臣民」として沖縄戦を戦ったが、そこで見たのは日本軍同士が殺し合い、日本軍によって住民の食糧や水を奪われ、避難壕から追い出される住民らの姿だった。「沖縄では軍隊に豚を強奪された農民が抗議したら逆に殺された」「スパイの嫌疑をかけられて虐殺された住民もいた」。沖縄戦の記録で語られるのは、米軍の恐怖よりも、むしろ日本軍に対する恐怖なのである。

 戦争は天変地異のように、ある日突然起こるものではない、それによって利益を得る勢力が、いかにももっともらしい大義名分をかかげ、長い時間をかけて、周到かつ巧妙に準備をすすめた結果起こされるものだと語った。

 沖縄・普天間問題の決着に南の哨戒艦沈没事件を利用しようとする日米南。しかし今や、「日米安保条約」維持は7%(琉球新報・毎日新聞世論調査)に激減した。沖縄県民の怒りや不信を余りに軽んじていないか。(粉)

[朝鮮新報 2010.7.2]