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「夫婦の日」−同胞社会の礎に

 2月2日は「夫婦の日」という。先日、5面文化欄の「私たちのうた」には、朝鮮の古典から「中世歌謡 夫婦打令」が掲載された。

 「他人同士集まれど/夫婦ほどに/深き愛情ありましょうか/あの家この家 訪ねても/わが家が一番でございます(中略)朝に顔を合せても/夕方にはもう会いたくて/まだ来られぬと知りつつも/もしかすると、と/待っているのです/…」

 夫を柱のように信じて暮らしている新妻の心を詠った作品である。現代では、妻の帰りを待つ夫の姿もそう珍しくないのではないだろうか。

 新婚時代ならともかく、夫婦といえども長年連れ添っていると、互いにエゴが出てきて時には「悪態」をつきたくなる時もあるだろう。南で大ヒットしたドキュメンタリー映画「牛の鈴音」に登場したハルモニの歯に衣着せぬ物言いは、ハラボジへの愛情表現そのもののようで実に微笑ましかった。ハルモニの小言を沈黙で受け止めるハラボジの姿にも温もりを感じた。

 先日、東京・中野で取材した李福順さん(84)は、3年前に60年以上も連れ添った夫に先立たれ、「寂しい、生きててくれれば良かったのに」と声を潤ませていた。激動の時代、5男2女を儲け、福島初中、総連福島県本部、朝鮮信用組合設立に励んだ夫。李さん自身も女性同盟福島県本部の設立に力を注ぎ、初代委員長に就任した。先達に習い、日本各地では若い同胞夫婦らが、地域の同胞コミュニティー拡充のため大きな役割を果たしている。「夫婦の日」に、新たな同胞社会の礎となる人々の姿を思い浮かべる。(潤)

[朝鮮新報 2010.1.29]